韓国のいらだちは慰安婦問題にあるのではなく、日本による併合にある(1):
 
 慰安婦問題は、日韓関係の最重要課題の様に思っている日本人は多いと思うが、私は韓国の思惑は別の所にあると思う。それを十分理解しないと、韓国の思惑通りに日本は悪の帝国であったことにされるだろう。先日朝日新聞が検証したように、韓国が主張する慰安婦を性奴隷として捉えることは幻であったと思う。しかし、韓国はこの宣伝を執拗に続けるだろう。何故なら、これにより日本に邪悪のイメージを国際社会に定着をさせたいからである。ただ、容易にわかるように、それが世界の理解となっても、それ(慰安婦の件)により韓国(民)が得るものは何もないように思える。私は、本当に韓国(民)得たい事は、次の段階のキャンペーンとして用意されていると思う。それは、日本による朝鮮併合を、独立国家であった朝鮮の邪悪な侵略として世界史に定着させることである。
 
 韓国の企みを以下に想像してみる。先ず、多くの少女を実質的に拉致し、女性の人権を完全に無視して、それらの少女を性奴隷として扱ったことにする。この蛮行を南アフリカのアパルトヘイトや米国等の奴隷制度以上、ドイツのホロコーストと同列の邪悪な国家的犯罪のTop Twoとして世界史に定着させる。ドイツのホロコーストはヒットラーという異常な人格に率いられた一部(ナチス)の犯行であるとされているのと比較して、日本のこの犯罪は国家全体の犯罪であるから、世界史に例のないことであるとする。その証拠の一例として、戦後70年経ってもなお全ての日本人はこの件を誤摩化していることをあげる。つまり、日本の朝鮮半島でおこなった性奴隷や中国での大虐殺(2)は、日本帝国が世界一邪悪な国家であったことを証明していると世界史に書きたいのである。
 
 そして、韓国の最終的な目的は、「日本帝国が行なった朝鮮の植民地支配は、朝鮮国への邪悪な日本帝国による犯罪であった」と世界の正史に書きたいのである。それにより、邪悪な日本国や日本国民と対照的に、「朝鮮は誇り高い国であり民族であった」と納得したいのであると思う。
 
 ここで日本の多くの人により、朝鮮は中国の属国であったではないかという反論があるだろう。しかし、中国への朝貢を、宗主国と属国の関係ではなく、外交の一つと看做せないことはないのである。歴史家の岡田英弘氏によると、朝貢冊封は中国と朝貢国との間の臣下の関係を示すのではなく、その時の中国王朝の正当性を、中国国内の諸勢力に知らしめる為に行なわれていたのだという(3)。
 
 そう考えると、日本による統治は過去数百年の韓国の歴史に塗られた唯一の暗黒部分となり、それを凶悪な日本の所為にしたいのであると思う。(4)
 
 現代は専門家の権威が落ちて来ている。そして、歴史もその時の時代背景など無視して、現代の感覚で裁く姿勢が世界に通るかもしれないと韓国は期待し思っているのかもしれない。また、東アジアでは日本を含めて、歴史は事実をつなぐ物語ではなく、時の王朝の正統性を主張する作り話である。(5)
 
従って、正史に書かれた邪悪な日本帝国は、それとの対照的に朝鮮の名誉ある地位を未来に約束することになる。
 
注釈:
1)これは元理系研究者の感覚で書いた意見です。素人ですから、あやまりがあるかもしれません。ご批判ください。
2)中国との連携で悪行の嵩ましと信憑性の増強を企んでいる。
3)岡田英弘著「歴史とは何か」文芸春秋2001; pp202-209 朝貢冊封体制というのは第二次世界大戦後の日本で発明されたことばだそうである。
4)言ってはいけないかもしれないが、二世三世になっても朝鮮半島の出身で日本産まれ日本育ちの方々が、日本国籍を取得しない理由も解った様な気がする。
5)「歴史とは何か」の前半部分全体参照