量子力学の著書で大学生にも馴染みの著名な物理学者であるロシアのランダウ博士は、物理学者のランク付けを行っている(Wikepedia参照)。博士は、独断で歴史的な物理学者の業績を対数スケールで現したのである。対数だから1.0違うと業績に10倍の差、2.0の違いは業績において100倍の差を、夫々意味する。このランダウスケール(又は、インデックス;勝手に命名した)RIの原点、つまりRI=0の最高位に位置するのは、あの古典力学の開祖アイザック・ニュートンである。RI=0.5に位置するのが、相対論や光電効果のアルバート・アインシュタインである。RI=1.0の位置に、ハイゼンベルグ、ボーア、シュレジンガー、ウイグナー、ボース、フェルミ、などの量子力学や量子統計学で著名な学者が並んでいる。RI=2.5に自分自身を置いていたが、その後2.0にあげたというから、最近のノーベル賞クラスは恐らく2.0-3.0くらいの指数ではないだろうか。ランダウ博士は触れていないが、職業として物理学を研究する人の最低ラインは、この指標で4.0くらいではないだろうか。しかし、1万人のこれら最低ラインの人々がニュートンと同程度の業績、或は100人がランダウと同程度の業績を挙げられるか?と言えば、答えは明らかである。つまり、このインデックスは量だけではなく質に関するものも含んでいるのである。(もっとも、科学には発展の時期と停滞の時期があるので、業績はその人の知的能力(解析及び推理力、発想力、等)だけの問題ではないことに注意が必要である。)
 ここで産業界における創業者のスケールも同様に出来そうである(経済界のR.I)。つまり、その人が創業した会社の大きさ、社会への影響などを対数で表すのである。GEの創始者でもある、トーマス・エジソンを基準として、自動車のヘンリー・フォード、IT革命のビルゲイツ?、日本では自動織機の豊田佐吉、松下幸之助や本田宗一郎などの創業者、最近では、楽天、ソフトバンク、ファーストリテイリングなど国際的に事業の展開を考えている創業者たち、DeNAやグリーなどの新規事業の創業者たちなどがある程度の差で並ぶかもしれない。
 これらの人々は筆者の目には全て、摩天楼からエベレストのように偉大にそびえているので、比較がなかなか難しい。ランダウはエベレストの中腹(7合目辺りか)から的確に、人の能力或は業績というのは差が大きく、対数スケールで測るのが妥当であるということを教えているのである。
 ここから本題に入るのだが、直ぐ終わる。政治の世界に目を向けると、日本の内閣の人たち、我々の1000-10000倍の能力がある様にはとても思えない。漫画が趣味の人、消費税還元セールは法で禁止すると言いだした人、むつかしい顔をして防衛問題を論じる人など、そして数十年の間に、千兆円に近い赤字を累積した人たち、ひょっとして筆者程度の知的能力ではないだろうかと思ってしまう。これが民主主義の本質的限界を表している様な気がする。ただ、米国などは表を民主主義で装いながら、裏には複雑且つ強力な構造を持っているようである。(田中宇さんのブログなど参照)