久々に映画の感想、ただの独り言ですが作品とパンフレットのネタバレ含みます
いつものことながら圧倒的語彙力不足ッ
『aftersun/アフターサン』(2022年)
監督:シャーロット・ウェルズ
制作:イギリス/アメリカ
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。(映画.com)
カラムとソフィ、父娘ふたりで過ごす気ままな休暇。かと思いきや折々に挟まる意味深長なカットにどこか何かがちょっとだけ引っかかる。最後まで多くは語られず、明確な説明はなく、ひたすら余白部分に思いをめぐらせてしまう。余韻がすごい。
寝息、夏の夜に鳴く虫の声、波音、赤ちゃんの声、そうした音の一つひとつも、アンビエントな劇伴と一緒にとても耳に残った。特に予告でも流れている(恐らく)メインテーマはなかなか頭から離れない。
画面の切り取り方も、匂いや湿度まで感じられそうな夏の空気感も好き。トルコには行ったことないのに、学生時代の長い夏休みを思い出してなんだかすごく懐かしく切ない気分になる。
お父さんが怪我をした腕のギプスを外すところ、恐らくはなけなしのお金でトルコ絨毯を買うところ、ウェットスーツがなかなか着られず格闘するところ、夜の海にむかっていくところ(?)、回していたビデオを止めて扉の向こうに消えていくところ等々、暗示的で記憶の隅に引っ掛るような、時には強烈に印象に残るシーンがたくさんあった。トルコ絨毯には一枚いちまいに物語があると言っていたけども、お父さんがソフィに贈ったであろうそれにはどんな物語があったんだろう。
終盤で流れるQueenとDavid Bowie共作のUnder Pressureが切ない悲しい。初めは使用する予定はなかったとパンフレットに書いてあったけど、むしろこの作品のための曲だったのかい?というくらい歌詞が重なって感じられた。「狂気が笑い声をあげる 圧力の下 僕たちは破滅する」の部分が使われていなかった気がするけど意図的なのかな。「もう一度僕たちにチャンスはないのか」と歌うフレディの声が慟哭のように聞こえてくるつらい。
お父さんはあの時、この時、何を感じていたの何を思っていたのと考えずにはいられない。
某映画評論家の方の言葉を借りると、同じような体験がなくとも刺さる人には刺さる、いろんな受け取り方を許してくれる作品なのだろうと思います。(パンフレットに、“監督のなかにひとつの答えはある。けれども、すべてを語ってしまうことへのためらいがあるという”とあった。)
夏休みシーズンに観ることができたらよりさらに没入してしまいそう。
余談で
アフターサンを観た翌日にアマプラでフランソワ・オゾン監督の『Summer of 85』(2020年 フランス/ベルギー)を観ていたら、その主人公の部屋にフレディの写真が貼ってあってなんかかなりテンション上がった85年だしお衣装的にあれはワークスツアー時のお写真かな…(?)