LUDWIG
先ほど銀座で「ルードヴィッヒ」を鑑賞しました、
休憩5分挟んで上映4時間に及ぶ、ヴィスコンティのドイツ3部作の一作品。
監督自身、バヴァリア王家の血を引いていることを知っていた。
彼から遡ること数世紀でしょうが、確かにこの2つの名家では婚姻が行われたようです。
芸術に溺れた国王の生涯は、ただでさえ耽美的なヴィスコンティを刺激して余りあるのに、遠い昔血族とあればなおさらですね。
この映画はすでに数回見ていますが、何度見ても完成度の高さに脱帽です。同じくWagnerも相応に長いオペラですが、いずれも時空を超越して私たちを震えさせます。映画館でポップコーンは、やはりハリウッド映画のみで、とても何かを食べながらこの作品を見ることはできません。「お気楽さ」は全くないからです。
エリザベトとの接吻シーンに流れる「トリスタン」2幕の音楽は、もっとも官能的な旋律で、さすがよく選びぬいている、と感心させられます。
王の寝室のブルーに対して、執務室の赤が対照的。机上のバラも赤からピンクへと変わっています。壁に掛かかる重厚な絵画、タペストリー、天井、床のふかふかした感じまでが伝わってくる絨毯、ドレスの質感、彼の貴族的な世界が全開
Viscontiのことだから、ワーグナーが手にする新聞も当時のものを探し出し使ったかもしれません。
王のお気に入りの側近達が夜、山小屋でダンスに耽るときの闇、雨や雪、夜の世界とワーグナーの音楽。ここには、アポロン的な、輝かしい太陽と昼はほとんど登場しません。ラストで王自身に言わせているように。enigmaですね