まず規約の設定・変更・廃止する方法を振り返る。

その方法は2通りしかない。

1)集会の特別決議(3/4以上の区分所有者及び議決権)

2)分譲前の専有部分の全部を所有する者(主に分譲業者・デベロッパー)が公正証書により成立させたもの

 

デベロッパーが何でもかんでもやり放題で規約設定できるわけではない。

2には下記の設定しかできない。

・規約共用部分に関する定め

・規約敷地に関する定め

・専有部分と敷地利用権の分離処分を可能とする定め

・複数の専有部分を有する者の各専有部分に係る敷地利用権の定め

 

さらに公正証書による規約設定できるのは、最初に建物の専有部分の全部を所有する者に限られる。

よってデベロッパーより全ての専有部分を一括で購入した者は規約設定できない。

 

もちろん区分所有者はこの公正証書の規約を特別決議で変更・廃止することは可能。

この規約の効力発生は、建物が完成し区分所有者が生じたときに発生するので、公正証書作成時ではないことに注意。

 

【別段の規約で定められない事項】

下記の事項は、例えば「禁止」されている事項をOKにする規約設定ができないという意味。

 

1)共用部分の変更に必要な議決権数

 → 「規約で定数を減じる

2)管理所有者による著しい変更行為の禁止

3)規約の設定・変更・廃止する決議条件

4)集会招集請求権の定数(1/5)の増加させる

 → 減らすことはできる

5)特別決議事項について、招集通知時に通知されていない事項を決議できない

6)管理組合法人の設立・解散の特別決議

7)義務違反者への訴訟提起の決議条件

8)大規模滅失(1/2を超える滅失)の復旧決議(4/5以上)

9)建替え決議(4/5以上)

 

要するに、特別決議が必要な事項全てと、4/5以上の決議が必要な事項、それらにプラスして唯一特別決議事項である「共用部分の変更」に関して、区分所有者数のみ普通決議レベルに下げられるが、議決権はダメだよってところに注意。そして特別決議のための集会招集の条件を増加させて集会招集条件を厳しくできないし、事前に知らせていない特別決議事項は決議できないってところ。