第五話

とはいえ1ヶ月も経つと、ちょっと褒められるくらいでは耐えられない禁断症状が襲って来るようになります。

実はこれまで、タバコは吸っていませんが、どうしても我慢できない時は、他人の副流煙を吸っていました。ファミレスやカフェなどで喫煙席を選んだりして、恋しい香りを楽しんでいたのです。

しかし、ある日、完全にタバコの匂いから決別する決心をさせる出来事が起きました。それは、年配の喫煙者がタバコを吸った直後に話しかけて来た時、タバコと加齢臭で、とんでもない臭いになっているのに気づいた事でした。

その臭いは、性格や収入そして、外見をも凌駕する、ネガティブな理由になる程の強烈なものでした。

禁煙に失敗して、将来的に喫煙を続ければ、あの体臭になる可能性があるのだと思うと、まだまだモテたい当時独身の僕は、もう2度とタバコは吸えないなと心の底から思ったのです。



つづく。