結婚相談所から申し込んだ11才歳上力石徹に似た方とは既に交際終了とされたが、
12月に入り日帰り旅行で熱い口付けを交わす。
クリスマスまであと2週間だ。
その日は力石との約束は無い。
申し込みのあった会社経営者との見合いを今週末に入れた。
相談所に属している限り、相談所のルールに則って動く相手の方が安心感はある。
アプリなどで結婚に至る者を凄いなと思う。
婚約までのリミットが決められていないから、
ズルズル付き合う恐れの方が高くないのか。
そして力石とは、交際終了した上での付き合いであるから、私はその危険性に怯えている。
しかし、自分の環境を変えるのがあまり得意では無いから、現状維持のまま我慢してしまう事の方が多い。
そんな中で、
平日昼間に元旦那からLINEが来て驚いた。
お互いに携帯番号を変えていなかったから、
LINEが2人を繋げたのだ。
久しぶりに食事でもどうかと元旦那に言われ、
彼の結婚の報告でもされるのかと考え、
それはやはり少し嫌だな、と思いながらも了解する。
平日の夜、銀座の店を指定されて出掛ける。
その日は生憎の雨で、
冷たい雨が雪に変わらなければ良いなと思う。
店に着くと、定刻5分前だと言うのに元旦那は既に到着して席におる。
もう離婚してから10年は経っておるのに、
時が止まったかのように何も変わらない男が
私を眩しそうに見る。
私は、一人で生きて行く事にも、
自分らしさにも自信が着いたから恐らく、
若かった当時よりも綺麗になっていると思う。
自信は女を美しくする。
しかし行き過ぎると西の魔女となる。
料理も事前にコースを予約してくれておる所は
いかにもO型の男性らしい。
偏見かも知れないが、
O型の男は、付き合う前だけは女に大盤振る舞いをする。
とかまあ性格判断は血液型では種類が多過ぎで、
ざっくりSかMかのどちらか一つで充分だろうと普段思うてはおるのだが。
食事をしながら近況などを報告し合う。
元旦那と住んでおった家は、
当時都内に新築したデカい戸建てであったから、その豊かさを懐かしく思い出す。
そしてそのデカい家では常に孤独だった。
彼も未だ独身であった。
急に何故連絡をしてきたのかと私が尋ねると、
実は勤続15年となり、記念に会社から旅行をプレゼントされたから、
良かったら一緒に行かないかと、
真面目な顔で私に言う。
私はその目に、
冗談の欠けらも無いことに狼狽える。
お主が真面目に働いて得たそのご褒美を、
10年も前に別れた女と過ごすと言うのか、
私はお主の為に何もして来なかったのだ。
結婚していた歳月のうち、
安らぎの空間をつくり支え合うべき時代に、
彼の望みには耳を傾けず、
自分の希望だけを押し付け、
何かあれば彼のせいにして、
自由気ままに生きてきた女だというのに、
この彼は、何故今になって、私なのだ。