結婚相談所から申し込んだ11才歳上力石徹に似た方とは既に交際終了とされたが、日帰り旅行に行く予定。7才歳上の坂東忠信に似た方とは現在仮交際中。
坂東忠信とは水曜日に会おうと約束しており、
彼から渋谷のイタリアンの個室的な所を予約したと、店の情報が連携されておる。
彼との葉山デートから水曜日まで3日間、
会うまでにもう少し間を空けるべきだった。
テンションが下がった状態のままだが、
まあ食事を楽しみに軽く行こう、
と自分にさり気なく言い聞かせる。
しかし、
もう1人の自分が膝を付き涙目でこう訴える。
だってな、どうせ坂東忠信の事であるから、
今度の食事も精々割り勘、もしくは私に払わせるつもりであろう、
あの男が勝手に選んだ店で食事するのに、
どうして私が食費を賄わなければならぬのだ。
それに対して私が諌める。
いやいや、大昔の大蔵官僚ではあるまいし、
大枚叩いて接待を受けるのが女の本望などと言う時代は終わったのだよ、
いい加減目を覚ましなさい。
己を奮い立たたせて、
当日はきちんとお洒落もしたのだが
約束の3時間前、
行く時間が迫るほどに行くのがほとんど恐怖に変わり、ついに、酸素を必要とするかの如く相談所に連絡を入れる。
例えるならあの、
箱の中身は何だろな、で、
うっかりヌルヌルのナマコを触り、
再チャレンジとなった時みたいだ。
次回はナマコでは無いかも知れぬが、もう、
腰が立たなくなる程嫌なのだ。
後3時間後に坂東忠信とは会う約束をしておるのだが、交際は終了したい。
という無理難題を相談所に連絡すると、
仲人は、合点承知と動いてくれる。
そしてすぐに、
お相手に連絡しました。連絡先は消去して下さい、という報告を貰う。
出来る、出来る女だ、仲人よ。
ゴマ様の教えの通りに相手の悪口は言わない主義であったのだが、流石に今回は理由を書かねば悪いだろうと思い、メッセージを以下の通りに書く。
先日、
彼の誕生日祝いでご馳走したのだが、
デザートのプリンまで私が払う事になりそうで引いてしまった。
…セコい、こんな事で交際終了か、
文字にするとセコ過ぎる。が、
取り敢えず送ると仲人からは、
優しい気持ちでご馳走したのに、
坂東忠信にその優しさが伝わらない事に、
心が引いてしまったのですね。
と、私の心を代弁してくれる。
それで嬉しくなって、思わず、
海辺では、ドジョウが猫に食べられた話しをされたのだ、とメッセージを送った。
しかし、
それに対する仲人からの返信は、未だ私に届かない。
何時だって、出来る女はスルー能力も高いのだ。