結婚相談所から申し込まれた7才歳上坂東忠信に似た方と週末は彼の誕生日を兼ねて逗子葉山でデート中であり、夜は力石と会う予定。
坂東忠信との昼食を終えた後でまた、
大脳が揺れるドライブへと戻る。
私は意を決して、
この車は止まる時にガックンと脳が揺れるが、随分変わった車であるな。
と、車のせいにしながらブレーキの踏み方についてやんわりと提言する。
坂東忠信は、そうですか?
とだけ言うて全く理解されていない様子、
この男、スルー能力が高いのかまたは、
本人は己のタイミングでブレーキを踏むのだから気にもならないのか。
少し観光でもしますかと彼が言うので躊躇した。
海など見たら直ぐ帰らないと、力石との約束に間に合わない。
坂東忠信が、森戸神社は有名なパワースポットです。と言うので、是非に行こうと即答する。
それで神社の側のコインパーキングに車を停める。
もはや金を出す気は無かったのだが、
坂東忠信が、小銭が無いとか言い出す為、
致し方無く、3百円程私が払う。
ふと、賽銭はどうするのかと私が聞くと彼は、
1円玉だけはあると言う。
ではそれで良かろうと思ったが気を取り直し、
致し方無い、私の幸運をお主にも分け与えよう。と、5円玉を取り出して彼の財布の中に入れる。
まあ私はお賽銭に5百円玉を使う主義だが、
男のお主は5円もあれば充分だろう。
坂東忠信はご縁、私はご百縁の格差参りをして、
防波堤のヨット乗り場から海に出る。
外は寒いがヨットやsupが穏やかに揺れ、
海面は陽の光を反射してキラキラと輝く。
海のある風景はなんとも素敵である。

ロマンチックな砂浜を歩きながら、
坂東忠信に幼少期の思い出などを聞くと、
小学生の頃、
捕まえたドジョウが凄く臭くて、
家にいれておくと母に怒られるから、バケツに入れて縁側に置いといたら、翌日猫に食べられました。
という話しをヘラヘラとする。
オチはある、しかし波打ち際でお主は一体何の話をしておるのだ、ロマンチックの欠片も無い。
車に戻ると、最後にマーロウでデザートを食べようと、前に私が言うた事を彼はしっかり覚えておる。
車のナビに、マーロウと店名を登録する。
車の指示通りに行くと、
カレー屋の脇の細い道を抜けて行き、近道か、
などと思うておるとその先は緩やかな崖。
しかしナビはそのまま前進と出ておるから、この緩やかさなら行けるかも、とかおかしな事を考えるが、
前進したら恐らく死ぬ。