結婚相談所から申し込まれた7才歳上坂東忠信に似た方と週末は彼の誕生日を兼ねて逗子葉山でデート中である。
日影茶屋で食事中であるが、
ここは彼の母上が気に入っておる店らしく、
昔は家族4人、父の運転で姉も含めて家族でディナーを食べによく来たのだと彼が言う。
私は、父上の運転は上手であったかと謎の質問をする。
彼は、まあ普通ですと答える。
私は、ほんの僅かな経験値で物を語るが、
姉のいる長男は、なんかその、
ちゃっかり君が多くないか?
こちらの親切を、遠慮など思い付く事も無くちゃっかり受け取る、そんな男が多いように思うが、気のせいか。
しかし食事中、空になったグラスを見て、
飲み物のお代わりはどうか、などを坂東忠信に尋ねてみると彼は、大丈夫ですと遠慮する。
それで、このちゃっかり君がちゃっかりなのは、若い内だけであったのかも、などと己の統計を都合良く訂正する。
しばらくすると坂東忠信は、
窓からよく晴れた外の向こうを指して、
あそこで写真でも撮りますか。などと提案してくる。
しかしここの日本庭園で撮る2人の写真は、
何だかもう、写真だけの結婚式を連想させるから、
外は紫外線が強そうなので止めておく。
などと美意識高い系の事を言って思わず断る。
そう言えば思い出したが昔、
金持ちの男と旅行に行った際、男に、
ここで写真撮ろうかと言われて、2人で撮るのだと思い頷いた。
すると私の携帯を男に貸すように言われ、素直に渡すと、
私の携帯で私の写真だけをパチリと撮られた事がある。
離れた自撮り。あれはひとつも笑顔になれなかった。
日影茶屋を出る時、
支払いは私がと言ってカードで払うと、
本当に良いのですか、ご馳走様でした。
と、坂東忠信がニッコリ微笑む。
良い良い、こうやって潔く金を払うのも男女の付き合いと言うものだ、
お主はどうせ経験不足であろうから、
私の背中を見てトクと学んでおくが良い。