結婚相談所から申し込まれた7才歳上坂東忠信に似た方と週末は逗子葉山でデートとなる。
逗子葉山の駅に到着して、しばし待っておるが、
坂東忠信はなかなか現れない。
彼もまた出発が遅れたのか、
店の予約時間もあるしジリジリと待っていたが、
一向に気配は無いので店の予約時間を変更する。
ようやく彼が現れたのは駅の改札で、
車では無かったのかと思うが黙っておると、
では行きましょうか、と、促されて歩き出す。
どうやら行先は近くのコインパーキングで、
ここでシェアカーを借りる事が出来るらしい。
この発想天才であるなと褒め称えるが、
予約した車は電気自動車では無く、変な色の変なワンボックスの何やら汚れた軽自動車で、逆に目が離せない。
このような車に乗車するのは、
大変失礼であるが、私は生まれて初めてだ。
比較になるかは分からないがトゥクトゥクなら乗った事がある、あれは乗り心地が悪かったからそれよりはマシであろう。
開けると扉が羽根のように軽いから、逆に高性能なのか。
しかも室内の足下には、泥の乾いたのが真一文字についておるから、
シェアカーは、綺麗に使え、皆の衆。
と俳句のように詠んでみたりする私を、坂東忠信が気持ち悪そうに見る。
しかし天気も良いし、それで海沿いを車で走らせると、
何とも素敵なドライブである。
しかしだな、ひとつ困った事がある。
それは、坂東忠信の車の止め方だ。
なんと言うか、
ブレーキパッドが擦り切れる程踏み込んでおるのか
信号などで停車する時、
車と、私と、坂東忠信、三者が一斉につんのめるようにして止まるのだ。
皆同じタイミングで前のめってからガックンと後ろに収まるから、常に両足で踏んばる必要がある。あの、これ、確か車だよな?
私の父も車の運転があまり上手くはなかったが、
これ程まででは無かった。
こんな運転技法は初めて経験するせいなのか、
なんだか少し酔いそうだ。
どうも車の運転が下手な男は、知能指数も難アリな気がしてしまうのだが、それは極論であるのか。
そしてこの停車方法を注意する魔法の言葉はあるのか、でなければもう少しで、漆黒のゲロを吐きそうだ。