結婚相談所から申し込まれた7才歳上坂東忠信に似た方と週末は葉山でデートとなる。
せっかく仮交際に進んだから、
彼の誕生日を葉山の日影茶屋で祝おうと提案し、
週末のランチを予約する。
鯛茶漬けだけという訳にも行かないから、
ひかげ弁当にしようと決め、無事に予約出来たので、
坂東忠信に完了メッセージを入れる。
すると、
では当日11時に逗子葉山の駅前に集合しましょう。
と返信が来て、思わず5度見する。
確か車で行くとか言うておった気がするのだが幻聴か。
気が変わったのか、それともドライブ致すのは彼一人で、私は電車で現地集合か。
よく分からないが、相談所で出会ったばかりでドライブもまあ誉められたものでは無いから、これが普通なのかと思い直す。
もう私は色々あってすっかり慣れて、
結婚相談所経由であれば見合い当日に、相手の家にもお邪魔出来る。
しかしそうやって、婚活ベテラン風を吹かせるのも相手に嫌われるであろうな、婚活のベテランだぞ、くわばらくわばら。
それで当日は早目に家を出て、
湘南新宿ラインに乗車しようと思うた所、
丁度1本前の電車が人身事故によりブルーシートで覆われておる。
そのような回収現場を見たくは無いから階段を上り、
恵比寿駅構内のカフェRailでコーヒーを頼む。
そこで坂東忠信に、
電車が動かないようで困っておるとメッセージを送る。
何だか不吉だし、予定がズレ込んだら夜の力石との約束に間に合わないし、家まで車で迎えに来てくれたら良かったものをとか考え出して、そして行くのも会うのも面倒になってくる。要は逃げたい。
何故か婚活では、これから人生で1番の味方となるべき相手に対して、世界一の敵だと言わんばかりの気持ちになる事がある。
この勘違いのマリッジブルー、
これを上手くかわす方法を身につけないと、全然前に進めない。
坂東忠信から返信が来て、
人身事故を迂回するルートを告げて来たので、よし行くかと己に喝を入れる。
彼が結婚相手だと、まだ深刻に考えなくても良いでは無いか。
まだ何も始まってはいないのだから、
友人と美味しい食事を、リラックスして楽しむのだと思いながら、軽い気分で出掛けようでは無いか。
相手だって言わぬだけで、同じストレスを感じているかも知れぬのだから。