結婚相談所から申し込んだ11歳歳上の力石徹に似た方と仮交際となってから2ヶ月が過ぎるが彼は結婚と向き合わない。





未だポツリポツリとではあるがお見合いの申込は来る。



医療系の会社を経営しておるという方からの申込があったから、やはりこういう方と出会えるのは結婚相談所の魅力であるなと改めて思う、私が尊敬して止まない職業は看護師と介護士であるからだ。


がしかし、プロが撮ったであろうその写真の顔は非常に険しく、酷いストレスに晒されて怒っておるように見えて恐い。


私が癒して差し上げるとするか、

いやいや、そこまでテンションを持って行けない。




では私から他にお見合いの申込をしようか、

どんな方が良いのかとグズグズ考える。





そして10月も末になる辺りで、

7歳歳上で年収が大台に乗っている方から申込が入る。






サラリーマンだし次男だし最高であるなと思うがしかし、明日は恵比寿ウェスティンホテルのクリスマス点灯式を観に行く為、そこで力石から何か進展があるやも知れぬから、返事は返さず保留としておく。




点灯式当日、

私は一人早めにウェスティンに行きラウンジに入り、

待ち合わせだと受付に告げると、

偶然空いていたツリーが正面に見える席に案内される。




恵比寿はガーデンプレイスでの盛大な点灯式の後、

ウェスティンホテルでピアノとゴスペルの生演奏を観ることが出来る。




席に座り姿勢良くコーヒーを飲んでおると、

フラリと現れた力石から、

なんだ、イヴァンカ・トランプがいるかと思ったと言われる。





私は黒髪であるし、

何処が似ておるのか冗談なのかもさっぱり分からないから、ベタベタの日本語で、よーいドンの強弱で、パアドンと言うてみたが受け具合は微妙。





点灯式が終わると二人、

外の大きなツリーを観に行こうと表に出る。



ロブションのシャトー手前の階段を降りると

広場があり、そこからバカラと赤いカーペットが続いたイルミネーションのその先に

一際目立つクリスマスツリーが見える。





もうこの景色は、銀行マンを含めて色々な男と見て来た景色であるから、今年こそこれで最後としたいと、

信仰のないイエスキリストにしっかりと図々しくも心で願う。



ベンチに二人並んで座り、

力石が寒いと言うので、彼を両腕でガッシリと抱きしめて見た。


そして力石の耳元で、ツリーを見てと私が言うと、

ツリーの方角には私の顔があるから、

力石がとても緊張しながら顔を上げる様子が伺える。


何だか、乙女を口説く中年のオヤジになった気分だ、なかなか悪くない。

苦しゅうない、近う寄れ。