結婚相談所から申し込みのあった3歳年上の西島秀俊に似ておるが几帳面な男性と夜のバーで初デート中である。




沖縄の泡盛は美味かった、私は酒に強いDNAを持っておるらしく普段飲まないが普通に強い。



西島秀俊は、ハイボールなどを散々飲んで肝臓を酷使しておるせいか相変わらず厠にばかり行っており、

それを見て、私よりも黒人のバーテンダーの方が引いておる。


そして席に戻ってくると箸を横に持ち、

自分のアレはコレです、コレ位長いのにコレ位細い、

と下ネタをぶっ放し完全に酔うておる西島秀俊を見て

私は、何だか急に、彼を潰してみたくなった。

何でだろうか、

言うておくが箸のような粗チンが見たい訳では無い。

これが男女逆であったら簡単にお持ち帰り出来そうだ。

ヤっちゃうゾコラ☆と右手をピストルの形にしてみる。

息も絶え絶えな獲物を間近に感じて、今まで潜在意識に隠れておった狩猟本能が頭をもたげたようである。


彼が厠へ行く度に、私は自分のグラスの泡盛を少しずつ彼のグラスに足して行く。

黒人バーテンダーはそれをうっかり二度見した後、目を見開いて私の手元をガン見しておるがまあ致し方ない。



実際は、彼が潰れれば本日夜は安心である、

婚活では相手のエロスイッチは入れてはならない、

性の対象は結婚相手となり難いのだが、

私はどうしても、どこにいても、会社でも、青年漫画に出てくるエロいお姉さんを妄想されがちである、あの、彼氏は遊び人だがその連れの真面目な友人をあらゆる手で誘惑するという、頭のおかしな女設定である。


あんなのは漫画だけで実在なんかする訳無い、居たら隣国のスパイであろうと、何度言うたら男は理解出来るのだ、

もうそんな日々は卒業したい。

と、魂で叫びながら黙々と泡盛を彼のグラスに注ぐ。

凝視する黒人のバーテンダー。



徐々に西島秀俊は朦朧としてきて、しばし俯いたままじっとしたりしている。


そろそろ精算いたすかと私が声をかけると、彼がお会計と叫ぶから、ここは私が払うとバーテンダーに札を渡して釣りは受け取らずにおく。黒人バーテンダーへの口止め料だ。


すると西島秀俊は、女性に払わせるのは申し訳無いと、

1万円を私に渡して、チップですと言うておるからクラブと勘違いしておるのか。



彼が席を立つ時は、フラフラというよりグラグラで、あっという間に一度転び、起き上がると罪の無い置物に体当りを食らわす。黒人バーテンダーは右手で十字を切る。

もはやドリフのコントのようになっておる西島秀俊に手を貸すと、まだ酔っていませんと彼は不機嫌になる。



店を出るとすぐ目の前に階段がある、そういえばここは地下であった。階段を上る前に振り返った彼の顔は、西島秀俊というよりも田代まさしに見える。頬は真っ赤でもう何だかボロボロだ。