結婚相談所から申し込みのあった3歳年上の西島秀俊に似ておるが几帳面な男性と夜デート中である。




ウルフギャングを出ると西島秀俊が、

知り合いが近くでバーをやっているので一杯飲んでから帰りますと言うておる。


彼の足取りを見るとしっかりしており酒豪であるなと思いながら、そうかまだ飲まれるのかと言うと、

良かったら一緒にどうですかと誘われたので、僭越ながらお供致す。



そのバーは六本木のある一角の地下にあり、短い階段を降りると右手に木の扉がある、本当に普通のバーである。

カウンターの中にいるのは黒人で、彼が自分の知り合いなのだと話すから、一体どんな知り合いなのか。



西島秀俊とカウンターに並んで座ると、

彼は私のノースリーブの二の腕を見て、とても白いだの細いだの言うておるが、なんだその中途半端な場所の中途半端な褒め言葉は、触ったらグーパンチを見舞ってやるぞ。


しかし褒めてきたと言う事は、褒められたいと言う事だろう。

私も彼の二の腕を素敵だぞと何気なく褒めるが、

よく見ると筋肉がついており何か色っぽいでは無いか。

今まで、二の腕に惚れるなどと言うておるユルフワ女子を何を寝ぼけた事をと鼻で笑っておったが、それが分かる。

筋肉の陰影を遠目で見ると、そこには漢と書かれておる。



腕から目が離せなくなり、

暫くじーと見ておると恐怖を感じたのか西島秀俊が、

ちょっと失礼とトイレに立つ。

名残惜しく見送りながら、

私はウィスキーをロックで飲む。

こういう時は、カクテルなど頼む方が可愛いのであろうが、私は俄然ウィスキー派だ。



西島秀俊は席に戻ってくると、仕事の話しをし出す。

今に至るまでに苦労した事など、そんな話しを私は聞くのが大好きだ。

彼は尊敬する先輩に、常に自分よりランクが上の人間と付き合うように言われたと話す。

そしてそれを守るようにしているのだと言う。


という事は、私も常に彼よりワンランク上で居なければ行けないのか、しかし一体どうやって。