結婚相談所から申し込みのあった3歳年上の西島秀俊に似ておるが几帳面な男性と、ウルフギャングでデート中である。
西島秀俊はハイボールのお代わりを注文する。
先程見たHERMESのバッグが新しく良い革の香りがしそうであったから、趣味が良いなと褒めると彼は、
実は新作のHERMESのバッグを予約していて、今度来るのが楽しみなんですと嬉しそうである。
こんなにブランドで身を固める彼を見て、多大なストレスを抱えておるのではと少し慮る。
ブランドで武装し、サングラスをかけ、拳銃の代わりにハイボールを握り締めて、一体誰と戦っておるのか。
私も若い内はブランドに強い憧れを持っていた。
17歳の時に(18歳であった間違えた)付き合った彼には、PRADAのバッグが欲しかったから、明日18歳の誕生日なのだと嘘をついた。
様々な人と簡単に寝ていた彼であったから、
どうせ付き合いも長くは続かないだろうと、どうでも良い扱いをしていたのだが、
付き合って直ぐに彼の親に紹介されたから、後で彼と両親に誕生日を訂正するのが大変であった事を思い出す。
どうでも良い扱いをする程、男は追ってくる気がする。
西島秀俊は酔ってきて、軽い下ネタも交えながら更にハイボールを注文し、調子良くカンカン飲んでおる。
己に向けて拳銃を撃ちまくりではないか。
言うておくが、
私は最初に頼んだビールが15cm減っただけである。
飲んでばかりいないで、肉を食え肉を。
結局彼は酒ばかり飲んで腹がいっぱいだと言い出し、
残っておる肉の殆どを私が片付ける。
そんな無理しなくて良いですよ、としかし尊敬するような目をして言うから、もう少しだけ頑張って食べよう。
ここはテーブル会計であり、彼が支払いをするがレシートを覗き込むとその額は3万6千円、
完全なる飲み過ぎだ。