# 賀正
大手結婚相談所から申し込みのあった
1歳年下笑顔がトム・クルーズ似の年収8000万の彼の家族にも弁当を作って渡す。
モゴモゴしているウチに気が付けば週末となり、
渋谷で買い物ついでにYves Saint Laurentのコスメを購入しようとするとガングロの店員が
是非是非と言いながら私に化粧を施しペン型のコンシーラを引きまくられるから、
良いなこれは若返るなと思わず諸々セットで購入する、
しみじみ若さと言う言葉に弱い。
自宅に戻ると夕方に
トム・クルーズから電話が来るから出ると、
15分後にウェスティンホテルの前に来て下さい、
来れますかと言われて了解するそして
Yves Saint Laurentのガングロの姫に若さをありがとうとこっそりと感謝する。
時間を見計らってホテルの正面に行くと
向こうから黒いFerrariが滑り込んで来てホテルマンの目の前で停車する。
降りて来た彼は目にかかる黒い前髪をかきあげて私に笑いかける、黒いスーツ姿で圧倒的な存在感でいて輝くばかりに格好が良い、私は完璧なスーツフェチである。
直ぐに戻りますと彼はその辺にいる私を含めた下々に声をかけると颯爽とホテルに入り、戻って来た時はその手に
紙袋を持参している。
停車させたFerrariのトランクを優雅に開ける彼に私は妙に関心する、
こんな場所に止めたら迷惑だなどと彼は全く思わないし、絶対的なその自信にホテルマンも注意するなど考える隙もなく従っている様子である。
彼がトランクから紙袋を取り出すとそこには私が作った弁当のジップロックが入っている、それと先程ウェスティンで彼が購入した紙袋それらを全て私に渡して、少し重くてすみませんと言う。そして上着から封筒を取り出すとそれを私に差し出して、
父から手紙だそうです渡してくれと頼まれて。
と言った。私はトム・クルーズに圧倒されており、
ラウンジでお茶でもしないかという誘い文句が頭を過ぎったのだが言う事すら出来なかった。
急に呼び出してすみません、また連絡します
彼は言うと車に乗り込みハンドルを握るが、発進する前に眩しそうに私を見るので私も彼を見つめ返す、
目が合った後彼は照れた様に髪をかきあげてから、
片手を上げて私に向けた後、エンジンをふかしながら夕日の中蜃気楼のように去って行った。