大手結婚相談所から申し込みのあった

1歳年下笑顔がトム・クルーズ似の年収8000万の彼とは

映画館デートの帰りにキスをされそうになり思わず下を向いて拒否する。



トム・クルーズは私から離れると、

嫌なら何故付き合う事にしたのですか、

断りにくかったのですか、僕はここで帰ります、

今日はありがとうございました。


と歩き出すその後ろ姿が寂しそうであるから傍に駆け寄り手を引っ張って、まだどうしたら良いのか解らないのだと言いたい気分であるが、駆け寄って、私は、それを言った所でどうして欲しいのかと考えると足が動かない、

ここから一歩も動けない。


こういう時は一体どうするのが正解なのだ。


私の頭は凝り固まって、過去にもキスもせず部屋にも行かずに去って行った男達を思い出す。

それは見極めたと思っていたが、しかし今回は何かが違う気がする、しかし何が違うのかさえも分からない。



彼の姿が見えなくなった頃に重い足取りで自宅に帰ると、トム・クルーズに連絡すべきかで悩む、しかし何と連絡するのだ、ついさっき付き合うと決まったのに何故早速こんな非常事態を迎えているのだ。と、鬱々と悩んでいると携帯が鳴るから見るとトム・クルーズからで、助けが来たような気分で飛び上がって慌てて出る。


彼は怒っていて、

何故付き合っているのにキス出来ないのだと聞いてくるのが彼らしい。一般的な男性はそんな事は聞かない、本当の事は聞くのに勇気が伴うのだ。


私が、結婚相談所の規則でそういう事は禁止されているのだと言うと彼は、

相談所は後で揉めた時に会社の責任問題になるのが嫌でそんなルールを作るのです、相談所と僕と、貴方はどちらを信用するのですか。と問うてくるから、

そんなのは比較にならぬし、それは会員になった時の約束であるから守るのが当たり前だと私も頑固に譲れない。


しかし言わないが本当の理由はそれだけではない、男性が本気になるには段階と言うものがあってまだキスのタイミングでは無くてブツブツブツブツ。


トム・クルーズは呆れた声で、

貴方は一体何歳なのですか、もう良い大人が付き合う相手とどうするかタイミングなんて自分で決めたらどうですか、これからも人に決めて貰うのですか。

と言うて来るが頭が固まっている私はそれを都合の良い言い訳としか受け取れない。

42歳にもなって純粋で頑固で最低だ。


今なら思う、好きなら男性が求めてきたらキスまではするべきだ、それ以上は待って貰っても男性が本気なら理解してくれる。

と、書いていて思ったが、惹かれているのにキスを断るのは40代では世の中私位かも知れぬな。

そして、これから結婚する相手を信じられずに遊び人だと疑うと、相手にはそれが何故か必ず伝わり本当にそういう人物になって行くのだ。自分を信じてくれない女性を誰が結婚相手として選ぶものか。


話はその後も平行線になり、そしてトム・クルーズからはついに、

申し訳有りませんがお付き合いは白紙に戻しましょう。

と宣言されて電話は切れた。