大手結婚相談所から申し込みのあった

1歳年下笑顔がトム・クルーズ似の年収8000万の彼とは

昼から映画館デートである。




映画を見終わると渋谷はヨサコイ祭りで凄い混雑であるから恵比寿に行こうと彼が言う。タクシーも勿論走ってなどいる訳ないから電車に乗ろうという事になる。


駅の改札で切符の買い方を存じておるのかと私がふざけてトム・クルーズに聞くと意外と真面目な顔付きで、

多分大丈夫です

と言うてはおるが普段電車には乗らない事を事前に知っていた私は、もう既に小銭入れを用意済であるから恵比寿までの切符をさっさと買うとホイと彼に渡す。


電車の中で2人で移動しているのが変な気分だ、

電話であるとあんなに質問責めの彼が普通に大人しくて拍子抜けする、

映画を観てお開きかと思いきやトム・クルーズが、

お茶でもしませんかと言うから備屋珈琲店を案内する。


ここは私が1人で良く来る場所である、トム・クルーズは

代官山のASOに良く行くのだと言っており勿論あそこは良い店だと私が言うと、今度行きましょうと何気なく言うからその場でメモりたい気分になる、

未来の小さな約束というのはやはり嬉しいものだ。


コーヒーを飲みながら彼の腕にパテックフィリップの時計が光るのが見えるから、良い時計であるなと言うと彼は

30年ローンで買いましたと冗談を言う。

高級な腕時計をして高級車に乗る男は遊び人であるから

信用してはいけないと私は10年前に学んでいるからその彼の圧倒的な輝きに少し腰が引けてくる。


そしてもしかしたら金に物を言わせた完全な遊び人なのでは無いのか、結婚相談所を利用して、婚約破棄だの婚前外泊だのでペナルティなんか端金だと高笑いで支払いながら女性を騙したりしているのでは無いかと、私は妄想に囚われ始める。