大手結婚相談所から申し込みのあった
1歳年下笑顔がトム・クルーズ似の年収8000万の彼には
今夜私から電話を掛けねばならぬ。
19時頃になりソワソワしながらトム・クルーズに電話をかける。緊張すると言うよりももはや恐い
一体何を話せば良いのだ電話は本当に苦手だ
相手の時間を一方的に拘束するのが嫌なのだ。
数回呼出音が鳴るとトム・クルーズが電話に出た
いつも通りの覇気がある声であるが開口一番、
これから仕事の話しで業者が来るのでまた後で掛け直しても良いかと問われて諾と答える、
と直ぐにトム・クルーズの部屋のインターホンの呼び出し音が聞こえてくるので思わず聞き耳を立てるのは本能の仕業だ。
彼は電話を繋げたままインターホンに出てやり取りをしているが客人の性別までは解らずよもや交際相手、つまりライバル、しかも1001歩リード、では無いのかグヌヌと私は耳に強く携帯を当て直す。と彼は、
ではすみませんがまた後程と私に言って電話は無情にも切れた。
結婚相談所での出会いと言えども実際に結婚しない限りは他の異性との並行運用が可能であるから、トム・クルーズと仮交際に至ってからは何だか常にヒヤヒヤしている、
相談所から通知が入ればヒヤッとして、歩行中に高級車を見かけてもヒヤッとする。
まだ彼が興信所を使う可能性が捨てきれ無いから怯えて、家から1歩外に出ると品良く行動しなければと思い、
駅までの道で割り込んで来る人は先を譲り競走はせず、
他人と肩が触れたら謝り、
赤信号は渡らず、
電車に乗ったら焦って空席を奪ったりはせず、
年寄を見掛けたら率先して譲る。
などという常識的な事を意識している、
すると今まで結構雑に生活していたなと改めて思う、
他人様への対応を丁寧にすると自分も丁寧に扱われるから不思議である。
トム・クルーズから折り返しの電話が来たのは22時であった。そしてどういう訳か本日もまた1時間の一問一答が始まる、
全くそんなに私の事を知りたいのであれば結婚して一緒に住んだら良いでは無いかと思うが、それは違うのか。