大手結婚相談所から申し込みのあった

1歳年下笑顔がトム・クルーズ似の年収8000万円経営者と仮交際に至った初デートの当日。




アトレのメイクサロンに入ってから担当者に、

これから暗めのレストランで大切なディナーなのだと告げるとガッテンと心得た担当者が茶色を基調としたアイメイクを手早く仕上げてくれる。


眉もアイラインもキリッと思い切り派手に引いているのに何故プロが描くと厚化粧にならず自然に美しいのだろう、最後の仕上げは素敵だ綺麗だと必ず言ってくれる担当者の言葉だ彼女はいつもフレフレとポンポンを振るように誉めて武装した私を下界へと送り出してくれる。


昨日の夜はまたトム・クルーズから電話が入った、

彼からの電話は2日連続であるから明日の都合が悪くなったのかと思い電話に出た。すると、


明日は六本木ヒルズクラブとこちらで勝手に決めてしまったが、初めて会うのに六本木まで出るのが面倒であれば恵比寿のウェスティンホテルに変更するがどうかという打診であったが私の住処は窓を覗けばウェスティンが見える程の近所である、

行き慣れた近所と初めての会員制のどちらに行ってみたいかを比較したら当然六本木の会員制に行ってみたいので、


いや予約されていたら申し訳無いのでどうぞご心配無くと返すと、予約は取り消せば良いのだから無理しないで下さいと相手も気遣いを見せるので遠慮の物々交換になっているから私はとうとう困り果て、

トム・クルーズはどちらが良いのかと問うとどちらでも良いと言う。

こういう時は何と言うのが正解なのだ。


私は致し方無く、

実は私はウェスティンホテルの近くに住んでおりこのホテルは素敵だし大好きであるが正直良く行く場所なのでたまには違う所に行ってみたいと言う様な事を申した、


そうだこれがファイナルアンサーだ。


今まで目黒区としか伝えていなかった自分の住処が簡単にバレるが致し方無いむしろこの言い方で大丈夫であったかとヒヤヒヤする、

結婚相談所での出会いは慎重に行動し話す言葉も選ばなければあっという間に断わられまるで電源を引き抜くように無常にも記憶を消され瞬時に赤の他人となる。


トム・クルーズは、

ああそうでしたかと笑いながら、ではやはり明日は六本木ヒルズの51階にしましょうと言って電話は切れたから、

随分気を配れる男性であるな流石ミリオネアであるなと悪い気はしない。


六本木ヒルズに到着すると私はESTNATIONの店舗にあるニコライバーグマンで赤い薔薇のブリザーブドフラワーボックスを購入した、

この出逢いが少しでも長持ちするようにとそして何故か彼には鮮やかな赤が似合うような気がするのだがそれは己の願望が投影された結果であるのか、

いやしかし緊張する。