大手結婚相談所から申込まれた17歳年上の会計事務所経営者とのお見合い後駅までの帰り道、雑談しながら歩くがホテルのラウンジより声が良く聞こえるから話しが弾む。




歌が好きだと言うから誰の曲を聴くのかと問うと会計士は、大橋純子さんをよく聴くのだと答えるから、


ああ有名な方であるな

と記憶を辿りながら上の空で答えると、


シルエットロマンスという曲がいい歌なのだ

と言うから、

やはり昔の曲の方が名曲が多いのだ

と最もらしく相槌を打つ。


が必死で全てを記憶して

後ほどヤホーでググる必要がある。


逆にどんな曲を聴くのかと私に問うて来るから、

ジュディ・オングは今でも変わらず素敵だと言うと、

また古いね良く知ってるねと会計士は嬉しそうだ。



そして唐突に、

貴方は病気とか無いですよねと冗談のように聞いてくる。


離婚した奥方が病気であったから心配になったのであろう、私が答えようとガッツポーズを決めながら何かを言おうとする前に、

大丈夫そうだね健康そうだと言ってアハハと会計士が笑うからつられて、

私は頑丈であるがお主も健康であるのかと問うと今度は会計士の顔が神妙となり、まあ年相応ですよとだけ答えてから沈黙となる。



全くなんなのだこの様な話しは

聞いておきながらも聞かれるのは御法度なのか難解だ。




深々と頭を下げて駅で別れたが仮交際となる自信は無い、ラウンジでは話しがろくに聞こえて居ないのに首だけ小刻みに振っていたからカルシウム不足かただのお調子者と思われた恐れはある。



ところが夜になると

仲人を通してあっさり仮交際の連絡が来たからホッと安堵すると同時に私の仲人から、

近い内に相談所の事務所に来るようにと招集がかかる。