大手結婚相談所で紹介された15歳年上東大卒のケビン・スペイシーと仮交際となり1ヶ月目に突入したその頃、更に条件の良い2名の男性から申し込みが来て私はあっさりとお見合いを承諾する。


2名とのお見合い前にケビン・スペイシーとデートをするが私は何となく上の空で話も弾まずレストランで昼食を食べ終えて彼がトイレに立った時には私が支払いを済ませてしまったからそれが彼には少し不服そうである、そんなつもりでトイレに立ったのでは無いと思っているのであろうが私は何とも思わないお互い働いているのだから気が向いた方が払えば良いのだ美味かったなと笑い合えばそれで良かろう、GWの予定について話が及んだ時に、もしかしたら仕事があるやも知れぬと私が申すと彼は何かを察しているような顔付きだ、彼とは1ヶ月顔を合わせてはいるが所詮週末1日を月5回程度のペースであるからまだよそよそしさが全然消えない女性が心を許すのは会話の量でも決まってくる。



GW初日は年収3000万円以上17歳年上の会計事務所経営者とのお見合いの日でありその場所に指定されたのはまたしても新宿の京王プラザホテルであった。

手土産にはジョエル・ロブションのマカロンを持参、当時は1箱1800円位で買えたが今はマカロンが大きくなり値段も上がっているしかし相手がホテルで支払う2人分のお茶代と比較したらそれでも少額であると思う、会計士であれば職業柄金銭に細かいであろうとなるべく等価交換を心掛ける、未来はどうか分からないが今現在は赤の他人様なのである。


17歳年上の会計士は雰囲気の優しい人であった。勿論年配の方ではあるがその面影に彼が常に前だけを向いて歩んで来たであろう人生が垣間見える、こういう人と出会うと私は

彼らが苦労した後の収穫の時に突然現れ一緒に参加する振りをしながら一番良い実りの時間を奪っている様な気がして複雑だ。仕立の良いスーツを着ているから腕時計を確認するとそれは着けていない様子。

ホテルのラウンジにはすんなりと通され最後に空いていた1席が我々の為に用意されたが会計士は私を振り返りながら歩くので支柱にぶつかりそうになってよろめく、私もさすがに一国一城の経営者に何かあってはいけないから大丈夫であるかと一瞬にして青ざめると会計士は、僕は最近良くつまずくのだ足元に気をつけてと私を気遣う、前だけを向いて生きてきた彼も最近は振り返りながら生きるようになったと言う事か。