大手結婚相談所で紹介された15歳年上東大卒の

ケビン・スペイシーからは仮交際希望との連絡が仲人を通して入った。




男性は

3回は会おう精神に則ってお見合いしているので

お見合い後の仮交際を余程でなければ断らない。


断るとしたらこちらが写真と大幅に違うか

会った時の雰囲気が大層悪かったかのどちらか

であろう断わられたら自分の行動を振り返り

次に生かすべきであるし

感じが悪いと仲人に報告されても堪らないから

私はひとまずほっと胸を撫で下ろす。




最初のデートの約束は

男性から電話をかける事がルールであるが

ケビン・スペイシーからはCメールが届き彼らしいな

と思う私も1度会っただけの男性と電話で話すには

精神統一が必要であるし沈黙は苦手だ。


次のデートの場所は

ケビン・スペイシーの母校訪問としよう

と私が提案すると彼は東京医科研病院に行ってみたい

と言うからそこに決定する。


Cメールだと文字数制限があるので

LINEは出来るかと尋ねると韓国に恨みでもあるのか

アプリが無いと言うから

文字数を数えて何度もCメールを送り合う

こうなったら電話の方が速くないか。




ケビン・スペイシーとのデート当日は、

広尾のアンティキサポーリでランチをとってから

松岡美術館に行きその後東大医科研病院と

全てタクシーで回ったから7cmヒールでも辛くない

色々ご馳走になるからタクシー代位は私が払う。



アンティキサポーリで未来の旦那は、


もう一生広尾には来る事が無いと思うので良い思い出になった


などと言うておるがあれは一体どういうつもりであるのか私が振られるのかまたは重い病でもあるのか大丈夫なのかと心配になる。


松岡美術館では丁度15時になった頃

ロビーでバイオリンの三重奏が始まりまるで我々を祝福しているようだと私は勘違いを全開で披露する、


そして医科研病院のその敷地内は休日であるせいか

人の姿は殆ど無くとても静かでよく晴れた日であったから

揺れる葉がキラキラと輝きステンドグラスが幻想的でレトロな建物、

昔の線路を敷き詰めた小路、

研究所の古い木の看板が

秘密のアジトを2人で見つけたような気分にさせる。



そんな中で彼は、

医師免許を取得して定年後は医師になりたいと思っているのですとか言うからなんと向上心のある素敵な方であろうかと

私はケビン・スペイシーをそのまま両手で持ち上げてクルクル回したい気分になる。