# もし食事中だった場合、私なら後で以下を読むだろう





42歳の誕生日に母と旅行先のホテルにて改めて会話をする。




母は背が低く色白の美人で外出には必ずしっかり化粧をする。


まつ毛エクステもしているし洋服は代官山の4298で買い靴は銀座ヨシノヤと決めている

酷い潔癖で我が子であれ1つの皿から直箸で食事をする事が出来ないし一見すると歳より若く世間知らずのお姫様のような印象を受ける。

私が子どもの頃は2人でいると出掛けた先の駐車場だとかスーパーなどで知らぬ男から良く話し掛けられ気持ち悪いなどと言っていたから何処か華もあるのだろう。



他界した私の父はその昔、

転んで頭を打ってから暫くして痴呆症となった。


母は父より3歳年上であるが父の介護を自分ですると言い、自宅には犬がいるし電動ベッドの配置や車椅子の出入りが楽であるようにと近所のアパートの1階を借りた。


母は父より随分背が低かったから

夏場は汗が目に入ると母は頭にタオルを巻いてからベッドにいる重たい父を支えて車椅子に乗せた。

午前中に掃除買い物を終わらせて父がデイサービスから帰ってくると今度はご飯を小さく父の口の中に入れて食べさせその後歯をブラシで磨き終えるとベッドの側に新聞紙をせっせと開く。



何をするのかと思うと父を車椅子から立たせてベッドの縁に捕まらせオムツを下ろす、と父は大きな音と共に新聞紙の上に排泄物を撒き散らす。凄い臭いを伴うが母は手袋もせずに黙ったまま父の体を拭きオムツを履かせ新聞紙を片付ける。


ベッドで寝かせたままオムツを取り替えるのは父が重すぎて困難である上にこの男オムツを脱がせると決まって排泄するのだと言いながら淡々と洗濯物を纏めて本来の自宅に帰り洗濯機を回す。



これが毎日続くのだ。



邪魔だから手を出すなと言われて当時私はそれを横で見ていたあんなに潔癖で見た目を気にする母はそこには居ない、それから夫婦と言うのはこういう物なのだと変に納得している毎日楽しく暮らすなどを超越したそこにあるのはお互い向き合う事で培って来たもっと強固な絆であろう。



当時私は実家に引っ越し介護を手伝う申入れをしたが母は、仕事と結婚を優先しろと断った、


これにお前を巻き込んだらお前の人生がおかしくなると断言した上で、

介護する時に楽な様に自分より背の低い男性と結婚致せと言うのだがそこだけはどうも頷け無い。