42歳の誕生日に母と旅行先のホテルにて

出版会社に勤務する糖尿病の男について話しをする。




母は珍しく結婚について反対しておりそう言うのを世間では毒親と呼ぶのだと私が言うと母は呆れながら


『何と言おうが本人がその気であれば親の言う事なんか聞かないであろう』と一蹴する

思い返せば私の1度目の離婚の時は母が反対するのを聞かずにさっさと私が決断したので親の言う事云々言えぬ第一親はいつまでも口を出すのが仕事である。



それで翌々思い返して見れば、結婚を約束した糖尿病の男と何度目かに会った時丸めたスポーツ新聞を片手に持ちユニクロの紫のダウンジャケットを着ており競馬がどうのと歳の割にしゃがれた声で言いながら煙草を吸っていた事を思い出す。


男は不摂生で丸投げで競馬なのかと思案するうちやはり親の言葉による影響は大きくないかとふと気付く。



しかし私はバツイチだから

余り高望みもどうかと言うと



『あら私もバツイチだから大丈夫』

と母が胸を張るので初耳だと驚くと、



あれ言わなかったっけ

お爺様だってバツイチだと告白する、


何でもお爺は粋な人でその昔芸者と結婚したのだがその後兄が亡くなった為にお爺が家業を継ぐ運びとなり、芸者とは離婚して他界した兄の奥方であった私のお婆と再婚させられたのだと言う家業で離婚させるとは実家は毒親の極み複雑だ。


芸者はその後お筝の師匠となり生まれた女の子は女医になったと言う事だから教育上男は居なくても問題無いという証明でもあるのか。




母に何故離婚したのかと聞くと、

将来性が無い気がして退屈な男であった

とあっさり言うこの潔さ逞しさこそが女性の魅力なのかも知れない。