その日は知り合いのテニスサークルの飲み会に誘われていた。当時私はテニスをしなかったから試合後の打ち上げを目黒でやると誘われて近いから飲み会だけ参加致すと返事を返す。
居酒屋に行くと知り合いの近くの席が空いていたからそこに案内されて座り初めましてと挨拶をすると早速対面に座る法令線のキツい女が、
失礼ですが何歳ですかと無表情に聞いてきたが
失礼なら聞く必要は無いであろう女同士であれば何でも許されると思うておるのか当時は17歳教など無かったものだから私は微笑んだだけにして静かにビールのグラスを傾ける何故なら先の席にイケメンを認識した為である話したい。
すると法令線のキツい女は
『私は41歳です失礼ですがあなたはおいくつですか』
と再び大きな声で聞いて来るが戦国時代の武将のつもりであるのかこの無礼者よく見ると指輪は当然しておらずキノコカットに白いパーカー、
下はズックと紺色のモンペみたいなのを履いている41歳であるのに火垂るの墓のような格好だしかも単なる飲み会にて自分の歳を大声で叫ぶとはどれだけ鉄板の自虐ネタなのだ更に、
年齢を言わないのは何か負けているみたいで私は嫌なんデスなどと周りに言い出す始末でお主は一体誰と戦いムーブメントを起こそうとしているのか。
私がそれでも知らぬ顔をして本日の西暦は紀元前であるから計算するとなどとふざけていると隣に座る草食男子が26歳ですよね、ね、とこちらを見て心配顔で言うからお主は見る目があるなと褒め頭をなでなでしていると向こう側にいたイケメンがいつの間にか私の隣りにビール瓶を持って座っている。
同い年だ。
法令線のキツい女と私は同い年だがここまでで共有したこの30分間は、
笑う量が違うお酌する回数も周りの人を褒める頻度も違う良い大人になったのに化粧もせずお洒落に手を抜き笑顔も見せず綺麗売りも知らないコミュ障はただの飲み会でさえイケメンが近寄ってくる機会すら無いのだぞと思うがそちらを見るのはギリギリと恐ろしいので止めておく。