婚活パーティで出会った自営業の男は、銀座5丁目にあるドトールに時間より少し遅れてやってきたが
電車から出る改札を間違えて道に迷ってと子どもみたいに言い訳している
しかしこのカフェに来たのは5回目であるのだまだ間違えるとはもはや特殊能力であるなと私は黙って聞いている。
男は手ぶらであったから後出しジャンケンもどうかと思い昨日焼いたクッキーを先に手渡した
すると男は目に見えて狼狽しこの後どこかデパートに行ってマフラーでもプレゼントしようかと気を使い出すが私は遠慮して軽く何か食事でも如何かと提案すると男は何処が良いかと私に聞く。
流石に12月24日のこの時間から銀座で難民になるのは嫌だから恵比寿に戻ってイルミネーションを観ながらウェスティンホテルで食べようかという話しをする。
恐らく今日は店を予約をした方が良いと私が言うと
ああそうかウフフと笑うだけだから私は黙って龍天門に電話を入れる。
今から2時間後には席が空くと言うからそのまま予約を入れるが後2時間さてどうしたものかと考える。
自営業の男はじゃあドトールを出ようと言うから何か提案があるかと思うと何も無いので歩いて直ぐのトリコロールに連れて行き2人食事前にケーキセットを食べるという暴挙に出る。
トリコロールは2階の席の方が居間のようで素敵だ、
全席に客が座ると暖炉を囲んだ仲の悪い親戚の集まりみたく見えて実に好みであるのだが
当時2階は喫煙席であったからやむ無く1階の奧の赤い席で小粋な女性がカウンターでコーヒーを慣れた手つきでサイフォンにかける様子を眺める。
そして向こうの席では冬なのにショートパンツの美人を相手にエルメス柄のシャツに黒いビロードの帽子を被ったお爺が海外の別荘自慢をしているから銀座という場所は分かり易くて良いなと思う。