婚活パーティが終わり男性が先に捌けると私がいる部屋には主催会社の社員が現れ、
あなたは本日の女性人気ナンバーワンです全員から選ばれましたおめでとうございます
と伝えられた。
男子5女子3の詐欺まがいな会であったから女子全員が対象なのではとも思うが悪い気もしない。
スキップなどしながらマッチングした男性の待つ階まで降りようとエレベーターフロアで待っている時に
結婚相談所のマネージャーが現れ、
パーティだとまた戻ってきてしまう方も居られるので万が一悩んだ時にはご相談下さいと名刺を差し出す。
いやいや残念ながら私はこれが最後だと下で待つ自営業と結婚するのだと思いながらも相談所の名刺を携帯ケースに大事に仕舞う。
下で待つ自営業の男はなぜか渋い顔をしていた。
随分待ったであろうと声をかけると、いや実はと声を潜めて、以前マッチングした女が今日の会に偶然いてそれでここですれ違うのが複雑な気分だったのだ
と随分正直に告白する。
気付けばランチの時間になっていたから、
近くにあった小さな地下にあるイタリアンに入ると自営業の男は話しを続ける、
何でも以前マッチングした女は何かの会社の社長であるからそれでお高くとまっており、自営業のその男が差し出す名刺を受け取ると一瞥した後、女の名刺は寄越さずその後ろくに会いもしなかったのだと言う。
飲んだ席なら興味深い話しだが、
婚活で出会ったばかりの相手から聞くのは随分感慨深い物だなと思いながら私はパスタを食べる。
その女社長、
帰り際に私もチラと拝見致したが背は低く顔は真っ白で言われて見れば神経質そうにも見えた。
彼女は私をジロリと見ていたからこの自営業とマッチングした相手は誰かと確認したのかも知れぬ。
簡単に捨ててもそれを拾う相手が誰かと気になるのは人の性というものか。