婚活パーティで知り合った公務員と広尾のアンティキ・サポーリで待ち合わせをする。



父の様子を聞かれたら何と答えるか考えながら席に着くが、公務員男性は食事中もそして食後のコーヒーの時も私の父の話題に全く触れなかった。


私は折を見て公務員男性の母親の話に触れてみる。



彼の父は随分前に亡くなり今は70代後半になる母と2人マンションで暮らしていると聞く。



相手は酒が入っているし未来の姑になるやもしれぬ母上の人物像を探る為にも2人仲良くしておるのかとお節介に問うてみると公務員男性は、



『これが中々大変で今日も実は喧嘩して来ました』と困った顔をする。



何か言い淀んでいるから私がふと思い付き

『物を部屋に凄く溜め込んで困るとか』

と言ってみると、

驚いた顔でそうそのような感じだと言う。


私には時々直感が降って参るのだとお告げ自慢をしても恐がられるだけなので止めておこうそもそも彼はそこに興味は無い。



『片付けるように母に言うと怒り出すし参ってます』



と彼は胸の内を明かす。



それは大義であるなその心情お察し申すと返すが、

私にとって彼は結婚相手としての条件をクリアして居るのだからそれにオバアが1ゴミ屋敷1部屋ついて来ようが一向に構わぬ、



いいや少しは構うがそれは今後考える事にしてと一旦心は保留する。



しかしだ。

私の父が他界した話しをするのが益々し難くなった。



一体どのタイミングで話せば良いのだ、

ゴミ屋敷の話の後か。



そして相手はあえて聞かないのでは無いすっかり記憶にございませんといった様子、

爪楊枝でシーハーしたそうにも見える。