後輩に紹介された広告マンとの約束を果たす為、祝日は午後から目黒駅前のパチンコ屋に行く事にした。
当日は朝から広告マンのLINEが入り、どこのパチンコ屋に行くのかとメッセージが来ている様子であるが精神統一の為非既読。
晴れて穏やかな天気であるが目黒駅まではスカイウォークの様な屋根が無いので日傘をさしMaxMaraの桜色のワンピースとピンヒールそして手には5万円を握りしめて出陣する。
めぼしいパチンコ屋の門を叩くと中はそこそこ空いていた。トイレは綺麗ではあるがそこから出てくる女はどこか擦れておるせいか洗面所も毛だらけのままで平気な様子であるそして今日私はその女達の仲間入りを果たす。
しかし全く何をすれば良いのか分からない。2階にあるスロットでアタタタタタと攻めている男性の隣に座るかどうかで悩んでいる所に陽炎のように歩いている店員を見付けてどの台がお勧めであるかと精一杯悪い顔をして問う。
店員は私を一瞥すると1階の台に案内した。
お金を入れて銀の玉を出して取っ手を握る。
一通りの動作を覚えると店員が褒美としてヤクルトを持ってきてくれたので、かたじけないと受け取った。
私が教わった通りに玉を買い出して取っ手を握ると程なくしてマリンちゃんが可愛いく踊る。
いや、やたらと踊る。
これは当たりの台であるなと思い喜んでいたら、
この台は100円の台だと隣りの汚いお爺が教えてくれた。
ちょっと意味は分からないが儲からない台と言う事であろう。
しかし中央の数値や絵が揃った時の派手な音楽とピンクや激しい光の点滅はまるで脳内のドーパミンとの共鳴を図っているようだ。
広告マンは何かの際に脳内シャワーと言っていたがこのドーパミンに拘って生きているのであろうか、しかし一瞬の快楽は突き詰めれば疲れるだけで私向きでは無い。
4時間も打ち続けるとそろそろ腰も痛くなりここで仕舞いと致した。変なカードを交換所で換金すると時給700円ばかりの計算となり私の単金として割が合わぬ。
帰宅してマッサージチェアでババアの様に腰を解しながら広告マンに結果を報告すると彼からは
『俗世にまみれた生活をしていますね』
というコメント。
しばらくするとお寺の境内の写真が送られてきて
どこかと思えば彼はこの祝日で久々実家に帰っているという。
私のお節介が効いたのであろうか、だとしたらお互いに出した課題を無事にこなした日であったのかと一息つく。