毎年、靖国神社の能楽堂でこの夜桜能は行われているらしい。4月3日から三連夜で行われたうちの最終日を見に行ってきた。
夜桜能2007
 靖国神社の能楽堂は野外にある。鑑賞席は、その能舞台前の広場に何本も植えられている大きなソメイヨシノの下に並べられていて、きれいな桜を見ながらが能が楽しめると言うとても春らしい催し・・・と思っていたのだけれど、東京はこの前日にはみぞれが降るほどの冷え込みで、5日当夜も真冬のような寒さだった。真冬のコートにマフラー、カイロを仕込んで観劇に臨んだ。
 能はまだ二回しか見たことがないので今回のをとても楽しみにしていた。しかし買えたのはA席。気付いたときにはもうこれしか残って無かったのだけれど、写真の通り能舞台からはもうめっちゃんこ遠いです。グランドの真ん中から教室でやってる息子の授業参観をしてるようなもんです。歌舞伎座の幕見席より遠かった気がする。イヤホンガイド必須でした。靖国の夜桜能は皆さん、S席ですよ。
 この日の演目は次の3つ。
舞囃子【花月】近藤乾之助
狂言【佐渡狐】野村万蔵、野村 萬ほか
能【小鍛冶】小倉敏克ほか
 舞囃子は席の遠さ+寒さもあって、あまり楽しめなかった。地謡の方々は、皆の見てる前で入場して終わったら同じように席を立って退場しなくちゃならないのに、もしあれで足が痺れちゃったら大変そうだ。遠くで見る限り正座イスを使ってるようには見えなかったけれどどうしてるんだろう。
 狂言「佐渡狐」は面白いお話だった。これまでに見たことがあるのはいずれも能のみの舞台だったので、狂言は今回が初めてだった。狂言師の声ってのは遠くまでよく聞こえるもんですな~。
 能「小鍛冶」は台詞のパンフを見ながらだったのでお話もよく分かり楽しめた。長唄にも同名の曲があるけれど能のこの話がルーツなのかな。話の終盤、鏡獅子に出てくる獅子のような白毛の長い髪の狐の精?が現れて、刀鍛冶の相槌を打って二人で刀を作るという幻想的な場面がある。このシーンのとき俄かに自然の風がひゅーっと吹いて桜の枝がざわざわと鳴り、精の白い髪がその風に靡いたのだが、見ていて身体がぞぞぞっとした。

 なかなか面白かった。しかし東京は何ともやかましい街だとも思った。となりの靖国通りの絶え間ない車の騒音のせいで「静寂」というものが訪れない。途中上空をバラバラバラバラとヘリコプターが二回も通っていった。東京で見る能は屋内のほうがいいかも。それでも桜がとてもきれいだしまた来年も来たいと思った。次はS席で。