歌舞伎座へ夜の部を見に行った。先々週の昼の部に続き今月は二回目。楽しみにしていたのはこの夜の部の「勧進帳」だった。取れていたチケットは二等席の一階で、舞台に向かって左側の花道が良く見えるところだったので、この日が来るのをチケットを取った先月からずーっと心待ちにしていた。
 一つ目の「平家蟹」は、源氏を深く怨む平家の官女が主役のちょっとおどろおどろしいお話で、期待していたよりずっと面白かった。今回はこの演目の初めての試みとして、幕が開く前にナレーション付きのスライドでこのお話の背景が解説された。主役の中村芝翫の工夫らしいが、これのおかげで話の内容がとても理解しやすくて良かった。幕が開いてから終わるまでけっこう真剣に見入った。
 三つ目の「忠臣連理の鉢植」は、正直言ってうーん、という感じ。単に私が見所を掴めていないかったり、役者の個性を分かっていないからなのだろうな。感想は割愛。
 やはり二つ目の「勧進帳」が面白かった。弁慶は吉右衛門で、富樫が富十郎。花道が見える席を取ったのは、弁慶が退場するときの大見得と飛六法をどうしても見たかったから。多くは語れないが素晴らしかった。どういう訳か、飛六法のところでは目頭が熱くなった。多分とても感動したんだと思う。きっと義経の無事を確認できてホッとする弁慶に共感したのと、見得と飛六法の迫力に心が動かされたんだな。見終わったばかりなのにもう一回見たいと思った。市川團十郎の弁慶もいつか見てみたいな。回復を心待ちにしています。