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 長唄三味線の練習用(と言っても本番用はまだ無い)の撥として、私は木製のもの(写真左)を使ってきた。最初に手に入れることになったのがそれだったというだけで、木にこだわった訳ではない。特に不満も無かったのでこれまでその撥以外で糸を打ったことは無かったのだが、先日ふとしたことからプラスチック製の撥(写真右)を手に入れた。さてさてと思い早速弾いてみたところ、木とプラスチックには意外に大きな差があることに驚いた。
 まず音が違う。糸を打ったときの音が、木よりプラのほうがより撥全体に響いて大きな音が鳴る感じがする。また撥が撥皮に当たったときの“パチーン”という音が木よりプラの方がずっと大きくて高い。良し悪しはともかく、プラの音のほうが好きかも知れない。
 次に打ち心地が違う。これは、振り下ろした撥が糸に触れてから糸を弾いて撥皮に当たるまでの間の、その撥と糸の滑り具合の違いから来るもののようだ。木よりプラのほうがよく滑る(摩擦係数が低い)ので、軽い力で糸を弾くことができる。おそらく撥が撥皮を叩く音がプラの方が大きいというのもこの摩擦係数の違いに起因していると見える。糸を弾き終った瞬間、撥に残された撥皮までのストロークが、糸がよく滑るプラの方がより長く残されることに加えて、摩擦の低さによって撥を打つ力がより失われないで撥皮を叩くことができているようだ。

 木もプラも、値段はさして変わらない。木は磨耗するが、プラはさほどでもないようだ。本番に象牙を使うのだとすれば、木よりプラの方が象牙の感覚には近そうな感じ。こうして考えてみると「じゃ木撥のメリットって何?」ってことになってくる。自然素材が手に優しい・・・かな。

 と思い、いろいろ検索してみたらこんなサイトが見つかった。
 http://www.tokyochuo.net/issue/traditional/2004/04/
 このお店の店主がおっしゃるように「絹の糸と木撥」と使うと本来のいい音がするのだろうか。絹の糸はやはり使ったことはない。何にせよ、この木撥はやはり「伝統工芸品」のひとつと言えるようで、日本文化を愛する者ならば、ここは「石油からほいほいと量産されるプラスチック製などを使ってちゃいかん」と思わねばならんところなのだろうか。
 うーむ、悩ましい。どっちを使っていこう。木かプラスチックか・・・。