第三章 警察官採用試験
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・あなたが落ちる本当の理由
「なぜ 私だけが」・「なぜ あんな奴が?」

と悩んでいる方も多いと思います。ですが「落ちる」のには明確な理由があります。[第一章 警察官に必要な能力]を読んで頂いた方は既にお解りかと思います。すなわち、それは「あなた」が「賢い」人間だからです。

そして「あなた」は「なれる」ではなく「むいている」を面接で主張していませんか?

警察組織に「賢い」人間は必要ありません。何故ならば「賢い」人間は自らで「思考」をするからです。警察組織などの縦社会では各々の「思考」を「共同体」に譲渡することによって成り立っています。詳しくは[第一章・警察官に協調性は必要?]で述べた通りです。そして「賢い」人間を「制御」するためには、その本人以上の能力を持った人間が不可欠になります。なぜなら知能が低い人間が自身の知能より優れた人間を懐柔させることが不可能だからです。



上司→(やれ)→賢い人間「(やれ)に対し思考」を挟む 
何故やるのかな??

上司→(やれ)→普通の人間「はい」
命令だから正しい 従おう‼︎ (権威主義的考え)

これらから、警察官採用試験は「むいている」人間が落とされて「なれる」人間が合格する仕組みとなっているのです。このような、官僚制特有の性質は[第一章・警察官にリーダーシップは必要?]や[同章・協調性のパラドックス]での説明をご覧下さい。
これまで第一章で論じた内容の主は「向いている」です。しかし、第三章からは、警察官採用試験に合格するための「なれる」を紹介していきます。
もしも「あなた」が「賢い」人間であったのならば、面接で「馬鹿」を演じてみるのも一つの手です。
※「賢い」や「馬鹿」は学力の有無ではない。

・共産主義を理解しよう
「あなた」が警察官採用試験に合格したいのであれば「共産主義」を理解する必要があります。何故ならば「警察組織」と「共産主義」は組織・社会構造が同じだからです。これは、警察職員が共産主義者やマルクス支持であると、述べているのではありません。警察組織のような縦社会では基本的に年功序列です。そこに「怠け者」と「働き者」の違いはありません。仮に民間企業ならばどうでしょうか。警察組織に比べて自分の貢献度が如実に給料に反映されているはずです。まさに「営業職」がそうです。それに比べて警察官は自身の功績や貢献度が反映され難い傾向にあります。そしてここで「能力」の話に戻ります。「能力」や「性格」から「むいている」を「仕事」にすることで「成功」する確率が高まるメカニズムは第一章で説明しました。しかし警察側が欲しいとする「能力」は低めに設定しています。何故なら個人の「思考」が組織運用の妨げになるからです。また「利益」を求めない「現状維持」の姿勢が「競争心」を奪います。そして「競争心」が必要とされない社会では自ずと能力や性格などが標準化されていくのです。
これらの事象は、官僚制すなわち、マックス・ウェーバーの論証を指摘したマートン的な見地からも明らかと言えるでしょう。
「官僚制」は必然的に「共産主義」的な社会構造を誘発し、結果として個々の「能力」に重点を置かなくなるのです。
これらから「警察組織」と「共産社会」の繋がりが理解できたかと思います。ではこの内容をどう「採用面接」で活かすかが問題となります。私は上記で「……能力や性格などが標準化されて……」と述べました。これがヒントです。
分からない方の為に答えを述べると「普通」や「平均的」です。つまりは、警察官に「なる」ためには「普通」「平均的」な人間を演じば良いのです。なにかしらの「能力」が高い人間は何かしら別の能力が劣っています。さらに「能力」が高い人間や「優秀」の人間は「普通」とは異なる「性格」である可能性が高いのです。反対に「平均的」な能力を持つ者の「性格」は「普通」である事が多いです。そのため、警察組織ではリスクを取らない手段として「普通」の人間を採用するのです。※リスクとは優秀があるが故に性格が普通とは異なる人間 もし警察官にむいていたとしても組織は自身の不佞故にその人間を扱えない
「個性がない」は素晴らしいことです。決して馬鹿にしている訳ではありません。本気です。「何かに特出した能力が無い」ということは「人並みに努力すれば人並みに出来る」ことでもあります。反対にとある能力が突出している者は「人並みに努力しても人並みに出来ない」分野が発生してしまいます。これは本人の好き嫌いには一切関係ありません。そして好きな分野に能力が配分されていない可能性だって十分にあるのです。人間は不思議な事に総合的な能力値を均等にする調節機構があります。ですので「得意なことがない」や「個性がない」は「苦手」な事が無いとも置き換えることができます。仮に「あなた」が「すごい苦手」と感じる分野があるのならば、別の「なにか」で「得意」や「個性」があるということです。
内容が逸れましたが「警察官採用面接」に合格するためには「共産主義」を理解して「普通」を意識してみるといいでしょう。

・クレペリン検査
警視庁ニ次選考において、クレペリン検査は軽視できない存在です。
何故なら、クレペリン検査が苦手な方は大きく減点されるからです。
仮に筆記試験や面接試験共に高得点であっとしても、クレペリン検査で適性なしと判断されると一気に点数は下がります。 
しかし、クレペリン検査の結果に問題がない者については、加点も減点もされません。
つまり、人によってクレペリン検査の重要性に違いが生じてしまうのです。
そして、「加点も減点もされない」この意味が理解できますか? 
仮に、クレペリン検査で減点される受験生の人数が多数を占めるのであれば、検査で適性有と判定された受験生は有利になります。つまり、間接的に他者の特定が下がり、代わりに自身の得点が加点されるのです。
しかし、「加点も減点もされない」との言葉が示す意味とは、クレペリン検査で弾かれる受験生が少ないことを表します。
みんな出来て当たり前、それがクレペリン検査です。
そもそも、クレペリン検査を行う理由はなんでしょうか?
 [第三章・共産主義を理解しよう]の次項に[クレペリン検査]を取り上げていることから、予想は付くでしょう。
それは「あなた」が「普通」の人間かどうかを判断するためのツールとしてクレペリン検査を実施しています。
これを、数値化してクレペリン検査では受験者が定型非定型を調べます。もちろん、非定型であった場合には弾かれます。
そして、非定型の人間は少ないです。なので、定型に当てはまる、大多数のクレペリン検査が得意な受験生にとっては、プラスにもマイナスにもならないのです。
むいている、むいていないではない なれる なれないの問題‼︎
「普通」や「平均的」が警察官に重宝される理由は以前に、述べました。
何度も言いますが、警察は「リスク」を取りたくありません。そのため仮に「むいている」人間であっても切り捨てざるを得ないのです。そして、警察官に「むいている」は紛れも無い生得的な個性です。[第三章・共産主義を理解しよう]で説明した通り「むいている」ことで「能力」に「偏り」が生じてしまいます。この、微細の「偏り」をクレペリン検査は見逃しません。今ある「どの真理テスト」でも「あなた」が警察官に「むいている」かどうかの判断は出来ません。そして、クレペリン検査は警察官に適している「偏り」と適していない「偏り」を一元的に処理してしまうのです。
世の中には「平均的」で「普通」の人間を見極め術は沢山ありますが「優秀」で「むいている」人間だけを抽出する方法は無いです。もし「優秀」で「むいている」人間を採用したいのならば前提として「能力」の偏った者を受け入れざるを得ません。その場合「警察官に適していない」個性を持つ者(別の分野に能力が偏っている)も一緒に釣り上げることになります。このような「博打」をするのならば無難に「平均的」な「普通」の人間を採用していくことが安全なのです。
そして、クレペリン検査に「偏り」が生じた「あなた」は常日頃から地道に練習していく以外に対策はありません。本番で「模範解答」を真似ることは非常に危険です。このような真理テストは「矛盾」に敏感です。そのため「あなた」が「自分」とは異なった解答を捏造した場合にはすぐに発覚してしまいます。
まずは「落ち着いて」「慎重に」を心掛けて練習していくことが大切です。そうすることで少しは「普通」で「平均的」な人間へと近づけることでしょう。

・誰でも受かる採用試験 
今まで述べてきたように警察官の試験は決して難しいものではありません。それは「筆記試験」や「面接試験」全てにおいて共通です。何故なら「普通」で「平均的」な人間が合格する仕組みだからです。この「普通」や「平均的」な人材が警察官に「なりやすい」理由は[第三章・共産主義を理解しよう]と[クレペリン検査]をご覧下さい。
このような原理から「あなた」が「落ちた」理由を客観的に推測することが重要です。まずは「あなた」が「普通」であるかどうかを考えてみてください。普通よりも「頭の回転が早い」・「論理的」・「賢い」はアブノーマルです。[第三章 ・あなたが落ちる本当の理由]の復習になりますが、はじめに組織の本質を理解することで「なれる」を演じることができます。そして「なれる」を上手く演じられる「あなた」であれば警察官採用試験に合格することができるでしょう。
*二次試験で落ちた方向けの内容です

・それ、何で言っちゃだめなの?
警察官採用面接では少なからず禁句ワールドがあります。例えば「アニメが好き」や「サバゲーが趣味」などが代表的です。ではこれらのワードは何故述べてはならないのでしょうか。この答えは「危険性」「目的の転換」にあります。
「危険性」とは警察官に適していない人材が合格してしまう「リスク」を指します。上記の例えを出すのならば「アニメ好き」です。
世間一般では「アニメ(好き)ヲタク」=「現実逃避者」の認識が未だに払拭しきれていない状況にあります。そのため「普通の趣味(運動や読書)」を嗜む者と「アニメヲタク」どちらを採用したいかと考えた際には、やはり「リスク」が少ない「普通(運動・読者)」を選ぶのです。これは実際に「あなた」が「どのような人間なのか?」は考慮されません。少しでも「リスク」を含む者を排斥しているに過ぎないのです。
次に「目的の転換」とは、警察官になることは過程であってその上で達成される別の目的が存在することを(相手方が)予見若くは予見される可能性を含むことを意味します。まさに「サバゲーが趣味」が良い例です。
「サバゲー」とは「偽物の鉄砲」で撃ち合う競技です。そこで相手は「銃が好きなんだ」とも認識してしまいます。そのため警察官になることが目的ではなく、銃を握ることが本当の目的なのかな?と面接官に誤解を与えてしまうのです(目的の転換)。そして時には「銃好き」や「ミリタリー好き」は「好戦的な性格」の持ち主だと勘違いされることも(危険性)…。同じく「ゲーム」などもこれに当てはまります。それと、危険性で問題となる一番のトラップとは「思想」です。これに関しては最善の注意が必要です。受験生の中には、どうしてそんなことを言ってしまうんだ、という学生が本当に多くいます。何故そのような発言をしてしまうのか、私からしたら不思議でなりません。本人達は無自覚のようですが、中には取り返しのつかないとんでも発言を口にする受験生がいます。その、とんでも発言の主が思想についてです。
思想は警察組織が最も嫌うものでもあります。
過去の歴史から、イデオロギーが国家や社会に与えた影響を考えると否応無く厄介者であると分かります(思想が大衆扇動や統治行為の益となる場合も多くある)。その、厄介者たる思想は、官僚制、すなわち警察組織が倦厭するものの一つです。
私は、思想を持つご搭乗がダメだと言っているのではありません。むしろ個々のイデオロギーを抑制する考えは全体主義を促進しファシズムを容認する立場を意味します。しかし、警察組織の能率性をはかるためには官僚主義を進め、個々を抑圧する基盤を構築しなければなりません※。これは、以前の文章で論じた「警察官適性」に通ずる解釈をして頂ければ理解できるかと思います
[※私は官僚制はファシズム的な側面を持つと考えている。ファシズムを結束主義と呼称するのであれば、個々のリベラルに重要性はなく、権威と階級によって統率された組織は、まさしくファシズムと呼ぶに相応しい。しかし、現代の社会構造や官僚制をファシズムと定義することには批判がある。
私は、官僚制がファシズムであると定義しているのではなく、統率する機能の本質が類似しているのだと考えている。これは、因果性がない概念が別個の役割を果たす際に偶発的に手段が一致したにすぎない。
つまり、官僚制の本質とは、構築主義の過程で社会形成の動きで定義付けされない隠れた自然的なファシズムであると推察する]

さて、そんな思想ですが、具体的に禁句とされているワードとは、左翼的発言、右翼的発言、これらに注意が必要です。
私が見てきて面白かった例としては…
「日本国民のために」
「日本人を守るために」
「日本の伝統と誇りを」
これらを強調して面接に挑む学生がいました。素直なのは良いですが…なんでしょう…笑ってしまいます。
私も日本大好き人間の一人ですので…気持ちは理解できますが、面接で伝えることではありません。ましては、警察官の職務を十分に理解しているのであれば、これらの発言はしないはずです。
少し難しい話をします。警察官とは行政職員です。行政職員は官僚主義の元に、機械的な職務遂行能力が求められます。ですので、法の善悪や社会の価値基準を職員が思量する必要はないのです。何故なら、立法論的イデオロギーの啓蒙、またそれに連なる思想や思考も警察官の仕事ではなく政治家の役目だからです。加えて、刑法学の観点から犯罪行為の処罰根拠が「国家への挑戦」故に国家機関が刑事事件に介入できる理屈が成立するのです。このことからも、警察官は国家の代理執行者であって個々の思想や判断を有しない性質が見られます。
(警察法第二条)「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする」
警察法第二条が掲げる目的達成のための「犯罪捜査、事件事故未然防止活動」が警察官の職務です。この職務に、あなたの裁量は求められていません。
「私は日本を〜」
これらを述べたとして面接官はどう思うでしょう?
「あなたの思想に反した公務はしないのか?日本のためにならないことはしないのか?」
法は時には理不尽です。警察官だからこそ、不条理で理不尽なシステムを守らなければならないケースがあります。正義が悪を守らなければいけない、それが警察官です。
「世の中は綺麗事だけではない」このことを知らずに、採用試験に合格してしまうと、あなたは絶望の淵に立つ事になります。
繰り返しになりますが、警察官は国家の代理執行者であり個々のイデオロギーは重要ではありません。
警察官採用試験で自身の思想を述べることは、自己認識と職務内容との乖離を疑いせしめ、職業研究を怠ったことを面接官に露呈する行為です。加えて、思想は危険視(過度な思想、信仰は物事を定義付けし、断定するために思考における柔軟性を欠き、また、他者への攻撃性も高まる)されやすく、安易に述べない方が良いでしょう。
最後に隠された思想についてお話します。これは面接官が意図して受験生の思想を聞き出そうとするトラップです。一見して世間話のように思える質問でもトラップかもしれません。例えば…、近頃の話題であるコロナウイルスについて
「政府による自粛要請についてどう考えてますか?」
まさしくこれがトラップ質問です。アンサーを「政府は強制力を伴う処置を実施すべき」などと述べた際には、立憲主義を欠く法治主義を誘発する思想の持ち主である(反憲法的思想)と評価されてしまうかもしれません。ですので、どのような質問でもあっても警戒を緩めずに、対応しましょう。
以上から禁句ワードは「危険性」と「目的の転換」に集約することができるのです。
他にも「これは言って大丈夫なの?」と気になっているワードがあるのならば「危険性」と「目的の転換」に当てはまっていないか確認してみると良いでしょう。

・エピソードに潜む危険性
警察官採用試験面接では志望動機を必ず聞かれます。そこで、エピソードを面接官に述べる上での注意点を二つ紹介します。まず、エピソードとは過去の出来事を題材にして警察官を志すきっかけを説明することを指します。
ここで、素直な方は正直に過去のエピソードを面接官に伝えるのですが、このエピソード内容が[それ、何で言っちゃだめなの?]で説明した「危険性」に当てはまると不合格の確率が高まります。例を挙げるのならば、
「幼い頃にいじめられていたので…」
「昔はヤンチャで…」
「過去の経験から非行少年の気持ちが理解…」
「過去に友人が犯罪を犯してしまい…」

以上が「危険性」を含む例文です。
相手側は「あなた」の経験そのものには興味がありません。ただ、志望動機によって警察官になりたいと思う気持ちの大きさを測っているに過ぎません。ですので、「危険性」を含むエピソードを面接官に発言すると「リスク」として処理されます。この、リスクとは生得的な事柄や、因果関係から危険性が類推されてしまう事象を言います。例を挙げると「昔はヤンチャで…」などは「過去に性格が問題があったんだ」と面接官に暴露しているようなものです。加えて、身の上ばなしでなくとも「過去に友人が犯罪を犯してしまい…」などのエピソードでは、自らの友人関係が悪いものであったと宣言しているのと変わりません。この「過去に友人が犯罪を犯してしまい…」にちなんだ言い回しは、多くの方が「危険性」に当てはまるとも知らずに使っています。他にも、友人が自殺してしまった、学校を辞めてしまった、非行に走ってしまった、などが同様のケースとして言えるでしょう。これらの主張で言いたい事は理解できます。過去の過ちや教訓から学んだ事を将来に生かしたい、これはとても素晴らしいことです。しかし、あくまで面接です。「過去に友人が犯罪を犯した」例えを挙げるのならば、犯罪を犯すような友人と関係を築いていたあなたって危険なんじゃない?と面接官から思われるはずです。例え、友人の行動が突発的で予知不能な事象であったとしても面接官はあなたの身におきた出来事の全体を捉えることはできません。ですので、このようなエピソードを発言することは控えるべきです。
「あなた」が面接官や採用担当者であるとしたら、過去に問題があった人材を採用したいと思いますか? 答えは分かりますね。そのためにも、エピソードの内容には「危険性」を排斥し、面接に挑みましょう。
次の注意点は、エピソードに対する面接官の反論です。エピソードを述べた後に、「あなたは、その経験がなければ警察官を目指してなかったの?」と返されるケースがあります。この、エピソードに対する返しは、職種問わず様々な面接で聞かれることがあります。必ず、対応出来る様に対策しましょう。

・数的処理の意義
警察官の一次試験では教養試験と呼ばれる筆記テストがあります。そして、教養試験の多くの割合を占めるのは数的処理です。
では、数的処理は何故多く出題されるのでしょうか?
その理由は「フィルタリング(足切り)」です。例えば、国語が得意なA君が居たとしましょう。そのA君は将来の夢や目標が定まっていません。そんな最中、A君は警察官募集のチラシに目を留めました。そこには「警察官採用試験:筆記試験は国語試験のみ」と記してあります。また、警察官は世間一般的に「安定している職業」・「社会的地位が高い」と認識されていることから、A君は「とりあえずなろう」と警察官採用試験を受けるのです。A君は警察官に対して興味や関心も一切ありません。ですが、「試験」で「受かる」との、理由のみでA君は警察官の道に進むのです。
この様な試験では「本当になりたい者」と「なんとなくなりたい者」をフィルタリングする事が難しくなります。何故なら「努力」は「才能」に勝らないからです。警察官を志して「努力」したとしても初めから国語が得意なA君には勝てないでしょう。しかし試験は成果主義です。一生懸命に「努力」した「なりたい者」よりもA君の方が得点が高い様では意味がありません。そこで、警察官採用試験では数的処理を導入しているのです。基本的に数的処理は「初めて」で解ける問題ではありません。また、中・高等教育期間で習得することは難しい分野です。ですので、受験生は警察官になるために特別な「過程(勉強)」を挟むことになります。この「過程」を挟むことで本当に「なりたい」気持ちがある者だけが試験会場に足を運ぶ様になるのです。そして、例に挙げた「A君」のような人材を採用試験以前からフィルタリングして自然に省くことができます。これらのことは、数的処理に限らず、人文科学、社会科学、自然科学etc…と教養試験で様々なジャンルの問題が出題されるのはそのためです。
そして、民間企業の多くが取り入れているSPI試験でも、数的処理や判断推理が多く出題されます。これは、教養試験と同様に、数的技能の有無を見極める試験ではありません。あくまで「過程」を挟んだか否かを確認すための試験です。ここで示す「過程」とは準備を指します。
具体的には、志望する会社の採用試験に向けて対策をしたか?(事前対策をする人間か)
志望する会社の採用試験の内容を調べたか?(入社意思の確認)
これらの、準備や事前対策をしっかりと行うかどうかの人間性を確認するための試験なのです。
「準備や対策をするなんて当たり前じゃん」と、思ったあなたは優秀なのでしょう。しかし、世の中には当たり前(普通)ではない人間がいます。このような下準備を怠る者もいれば、用意周到に対策を講じる者もいます。与えられた課題を素直に熟す人間が欲しい企業からしたら、前者の様な人間は採用したくはありません。つまりは、良くも悪くも「普通」ではない人を足切りするための手段としてSPI試験が設けられているのです。
これに関しては、数的処理が苦手な方は、割り切って勉強するしかありません。試験は成果主義です。いくら「過程」を見極めるテストだとしても、採点者側は(努力しても出来なかった)と(努力してなくて出来なかった)、この二つの違いを見極める術はありません。本来ならば(努力しても出来なかった)受験生は合格させるべきでしょう。何故なら、数的技能の有無を測ることが目的ではないからです。ですが、この二択をどうやって判断しますか?
酷な話ですが、努力した者であっても、一概に「過程」における準備や事前対策を怠った者であるとの烙印を採用側から押されてしまいます。ですから、苦手な方は人一倍勉強するしか方法はありません。
(対策をしなかった就活生を責めないであげて)
皆さんも、就活時に入社したい企業に序列を付けて滑り止めとして不特定多数の企業に記念受験しに行きますよね? 興味や感心が無い会社であっても入社試験には行く…よくあることです。企業説明会や試験内容には一切触れずに「受かりそうだから滑り止めで受けてみるか」この様なことはザラにあります。就活生からしたら人生が掛かっているわけですので悪くはありませんが、企業側からしたら困ってしまいます。(そのために教養試験やSPI試験という「過程」を挟むのですが…)
「自分はSPI試験対策をしてきたのにあいつはなんで対策をしていないんだ?」と怒らないであげてください。あなたも別の企業を滑り止めで受験したのであれば、その企業を本命としている方に「何故こいつは対策をしてない?」と思われているのかもしれません。それぞれの企業や業種によって「過程」は様々なのです。
話が逸れましたが、本筋に戻ります。数的処理は「苦手」と「得意」が顕著に現れてしまう分野です。そのため「不平等」と感じる方も多いかと思います。ですが、教養試験やSPI試験において数的処理を導入することは「平等性」を実現する上では最適な選択なのです。理由は筆記試験の中心となる分野が「国語」でも「理科」でも状況は変わらないからです。どの分野でも得意不得は発生します。そのため最も「平等」になる、数的処理を筆記試験の中心にしたのです。もしも、教養試験の中心が「国語」であったらどうなっていたでしょうか? 「国語」は義務教育や高等教育の12年に渡って皆んなが同じ時間をかけて学習する内容です。しかし「苦手」から「国語」が全く出来ない学生は今までの12年間分を取り戻さない限りは採用試験には受かりません。それならば数的処理はどうでしょう? ほとんどの学生は「警察官を志した」その瞬間から数的処理の勉強をスタートします。そのため「苦手」でも他の教科や分野に比べて時間的な差は発生しません。
これらから、警察官採用試験は「過程」を挟む上で、必要なフィルターとして数的処理をメインに沿えたのです。(理系の国立大学生は数的処理を勉強せずに満点が取れそうですが…そこは気にしたら負け(笑)努力あるのみ)
数的処理の意義については述べた通りです。ここからは、数的処理能力が実用性の高い能力かどうかを説明します。
結論から言うと警察官に数的処理能力は全く必要ありません。また、数的思考力が論理性や客観性に結びつくとする考えも迷信です。第一章で述べたように「論理性」や「客観性」の発現ルーツに数的能力は関係ありません。人間の能力値は各々別個に成長します。能力値と性格に比例関係が確立しているとしても、能力と能力の相互関係において、関連性が高い項目はほとんど存在しないのです。ですから数的能力の有無が「あなた」の「警察官適性」に影響することは御座いません。(私も数的処理は苦手です)

・馬鹿も落ちます
これまで[警察官について 〜これから警察官を目指す若者達へ〜] では「賢い人間」や「普通ではない」特質を持つ読者を対象に文章を書いてきました。何故なら警察官採用試験で不合格となる者は「イレギュラー」の性格を持つ人間が多いからです。ですので、これまで述べてきた内容では「普通」を演じることが大切であると説明してきました。しかし物事には限度があります。普通を演じる上で馬鹿になりすぎると警察官採用試験では不合格となります。あくまで警察が欲しい人材は「普通」であり「馬鹿」ではありません。そのため、面接試験などであまりにも素直で直線的すぎる答えを述べると相手から馬鹿だと思われます。そして、警察官採用試験で惜しくも不合格となってしまった「あなた」は「馬鹿」である可能性もあるのです。そのために自身がどのようなポテンシャルを持つ人間なのかを客観的に見て対策する必要があります。故に「馬鹿すぎず」「賢すぎず」を意識してみましょう。

・身辺調査
まず「身辺調査」とは受験者本人の「家庭状況」や「家族構成」・「経歴」などを調べることです。この警察官採用試験における「身辺調査」は多くの方が気にされていることかと思います。そして、巷では「三親等内に犯罪歴のある者がいる場合は警察官になれない」と言われています。果たして真相はどうなのでしょうか?
この問いの答えですが「私には分かりません」。当然ですよね。例えば警視庁の警察官の人数は約4万人です。そしてその内の警察官採用担当者が仮に千人だとしましょう。この様な場合に警察官の採用に関わっていた人数は全体の約2%です。このように現職の警察官でも中々知り得ない情報を私が知っているはずもありません。
さて、では何故「三親等内の親戚に犯罪歴のある者がいた場合は警察官になれない」と言われているのでしょうか?
それはきっと「確率論」です。三親等内の親戚に犯罪歴がある受験生が多く落ちた?からなどの曖昧の情報からこのような仮説が建てられたのかと思います。しかし「火の無い所に煙は立たぬ」との言葉がある様に実際に曖昧かどうかすらも分かりません。
日本国憲法 第14条では「すべて国民は…人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあります。そのため警察が行なっている「身辺調査」はグレーゾーンに片足を突っ込んでいる状態です。ましてや、そんなグレーゾーンが明白になる訳もありません……。
私は、警察官採用試験における「身辺調査」について皆様のご期待に添える回答を示すことができません。ですので、少しでも「あなた」の「身辺」に不安がある方は「リスクヘッジ」を予め用意することを勧めます。

・面接対策 (長所・短所)
面接練習では、部類に分けた練習法が効果的です。警察官採用試験面接では主に「立ち振る舞い」「あなたのこと」「警察について」「教養」の四つに部類を集約できます。まず「立ち振る舞い」とは身嗜みや仕草、態度を指します。しかしこの「立ち振る舞い」は常識的にどのような仕草や態度を演じれば「受けがよい」かは理解できるはずです。次に「あなたのこと」とは、自己紹介や経歴、短所長所、友人関係などを指します。そして「警察について」ではあなたがどれだけ警察官の職業について理解しているのかを問われる項目です。最後に「教養」とは、その名の通り、時事や社会知識などの常識的な知識確認です。
ここで主に取り扱う内容は「あなたについて」と「警察について」です。「立ち振る舞い」や「教養」は一言で説明できるものではなく、また後者は習得に時間を要します。そのため二つの部類に絞って面接対策について、説明していきます。
初めは「あなたのこと」について解説します。これは自己紹介と同様に「あなた」がどのような人物かを「相手」に説明する必要があります。そこで主に「あなた」の経歴や友人関係、短所長所などを尋ねられることでしょう。そしてこれらの問い掛けに対しては「あなた」がいかに「協調性」があり「友達が多い」かを述べることが大切です。ですが、実際には友達が少ない方はどのような回答をすれば良いのでしょうか。このような場合は「嘘」をつくしかありません。何故なら「友達が多い」は「社交的」であると一元的に判断されてしまうからです。今まで述べてきた様に警察組織が欲しい人材は「素直で普通の人間」です。そのために「リスク」は切り捨てます。実際に「あなた」が警察官としての「適性」があるか否かは別問題として処理せざるを得ないのです。しかし「嘘」はバレると警察官採用試験では即刻不合格です。そのため「明るく」て「友達が多い」ことを(嘘でも)証明するためには現実において、ある程度の「人間関係」を確保しておくことが大切になります。
「あなた」の経歴や友人関係から人物像を推察するような質問以外にも短所長所といった直接的に「あなた」を問う質問も存在しています。そしてこのような短所長所の答えとして最適な回答は「対偶表現(関係)」を述べることです。例えば「世話好き」の反対は「お節介」になります。
では何故、この様な「対偶表現(関係)」が大切になるのでしょうか? その理由は「あなた」が述べた「長所」が「短所」として面接官に認識されないためです。前にも述べましたが「性格に良し悪し」はありません。それは反対に「環境」によっては「あなた」の性格が「良く」も「悪く」も成り得てしまうということになります。つまり「長所」と呼べる「性質」にも短所があり「短所」と呼ばれる「性質」にも長所が含まれているのです。相手に伝える長所は常にポジティブである必要があります。これは[第一章・警察官に協調性は必要?]でも「協調性」として触れました。第一章では「協調性」には「良い部分」も「悪い部分」も含まれているのだと説明しました。これと同じく全ての「性質」も一元的に評価を下す事は困難なのです。そのため、一見すると「長所」を述べたつもりが実は警察官には適していない「短所」に成り得ていた、なんてことはよくあることです。具体例として以下の「性質」を挙げます。
(長所)協調性 (短所)流されやすい
(長所)慎重的 (短所)判断力に欠く
(長所)面倒見が良い (短所)お節介
このように「性質」とは対になる関係が何かしら存在しているのです(※例外有)。仮に「あなた」が「性質」の反比例の原則に当てはまらなかったとしても、そんなことは「相手」は知りません。
もしも「あなた」が「対偶関係」を知らずに「長所」「短所」を述べたらどうなるでしょうか。その場合には個別に述べた「長所」「短所」に加えて「長所」の対になる「短所」までも相手に伝えていることになります。つまりは、一つの「長所」に対して二つの「短所」を述べいるのです。当然相手は「短所」が多い人間は採用しませんよね…。
ですので、これらを防ぐためにも「対偶関係」は必要なのです。まずは「長所」の待遇がどのような性質を持つ「短所」であるかを調べる必要があります。また、可能な限り「長所」と「短所」の待遇を同時に説明することで「相手」が自己に対する不明確さ(突っ込みどころ)を消すことができるのです。
模範回答として、上記の表で例えるのならばこのように言えます。「私の長所は協調性が〜しかし短所として自分の意見を相手に上手く説明することが苦手で〜そのため〜に取り組むことで改善しました」
このような回答が好印象となるのです。しかし「対偶関係」にも落とし穴はあります。それは「長所」の裏の「短所」を理解すれば、どんな「短所」でも良いと勘違いしてしまうことです。結論を先に述べると「短所」は「短所」であってはなりません。
どの採用面接でも同様ですが「短所」は相手にとってプラスにもなる「短所」でなければならないのです。そのため「改善可能且つ改善済み」及び「その職務を遂行するにあたり著しい欠陥がない」この二つの要件を共に満たした状態でなければ「短所」として機能しないのです。
これらより、まずは「対偶関係」を考えた上で、その対になる「短所」が二つの要件を満たしているかどうかのダブルチェックが必要なのです。
※対遇に短所がない長所を選ぶ事も有効的
次に「警察について」です。これは「あなた」がどれだけ「私たち(警察)」について知っているかを尋ねてくる面接での問い掛けです。この質問の意義は「知っている」=「興味関心が強い」との一般的な解釈の上に成り立つ質問です。そのため警察官について詳しい事はそれだけ「警察官になりたい意思」が強いのだと、相手は感じるのです。
具体的な質問の例として「〜の制度について〜」や「これからの警察官に必要な能力は?」などを質問されます。そこで、後に[第三章・状況質問]で述べるような「合理的」な答えは必要ありません。もちろん警察官についての基礎知識は無ければなりません。しかし「なれる」を演じるためには賢い回答よりも「綺麗事」が重要になってくるのです。そのため、これらの問いに対して「協調性」や「忍耐力」が必要だ、などと言った上辺だけの回答を用意することが大切になります。
まとめとして「警察官について」の問い掛けには「賢すぎず」そして「馬鹿すぎず」の二つを意識してみては如何でしょうか。

・集団討論(地方公共団体含)
警察官採用試験の内容は都道府県により異なります。そのため受験する地方自治体によっては集団討論が試験内容に含まれているのです。ここでは簡単に、集団討論で行なってはならない行為を説明していきます。
まずは「リーダーシップ」の発揮についてです。[第一章・警察官にリーダーシップは必要?]で詳しく解説しましたが、警察組織が欲しい人材は「普通」の人間です。そのため過度な発現や目立つ行為は即失格となります。
次に、自分の有能さをアピールすることは絶対にやってはいけません。所詮は採用試験でのお遊び討論会です。議題に対して論理的に力説する必要もありません。
「〜について論じなさい」などの議題は「賢い人間」からすれば、サービス問題かもしれません。しかし、そこが落とし穴なのです。基本的に警察官の討論試験では「協調性」を見ます。ですので周りのレベルに自分を合わせなければ討論なんてものは出来ません。そのため、賢い「あなた」は与えられた「議題」について考えるのではなく「周囲の人間の平均的な知能」について推察すべきなのです。また、討論が苦手で論理的な思考を展開できない「あなた」は与えらた「議題」について一生懸命に考えましょう。この、原則さえ抑えれば警察官採用試験の集団討論には対応できます。
集団討論は警察官採用試験に限らず、官公庁や地方公共団体の採用試験にも導入されています。そこで、注意が必要なのは「役割分担」です。集団討論での役割分担とは、議論を進めるにあたり、司会、タイムキーパー、書記、を決めることです。そして、この役割決めが落とし穴となります。ここで問題となる役割は間違いなく「司会」と言えるでしょう。参考書やインターネットの情報では「司会」に立候補すれば面接官の評価が上がるとした、説明が多く散見されます。しかし、これは大きな間違いです。積極性やリーダーシップは、公務員に求められていません。そのため、地方公共団体(市役所等)の集団討論で「司会」に立候補することは危険です。ですが、公務員とてコミュニケーション能力が高い人材を欲していることは確かです。ですので、「司会」を勧められた、適任者が不在、などの理由があれば立候補してみることも大切です。また、与えられた議題の内容が難しい場合には「司会」に逃げることも選択肢として存在します。「司会」とは議題に対しての、意見や打開策を他のメンバーに尋ねて調和を図る役割です。そのため、与えられた論題について回答が難しいな、と感じたら「司会」に立候補しましょう。
ここまで「司会」についての説明をしましたが、一つ言いそびれたことがあります。それは、受験する公共団体を理解することです。何故なら、公共団体は各々独立した方針や理念を持っているからです。
それぞれの公共団体を「家」に例えましょう。「家」には数人の家族が住んでいます。また、その「家」の隣にも「家」があります。当然、他の「家」にも家庭があり、家族が存在します。この「家」と「家」にはそれぞれ、生活スタイルが異なります。ですので各々の「家」には性質の違いが現れるのです。しかし、各々の「家」にも共通した理念があります。それは「法律」です。「家」には特徴や性質の違いはあれど、共通して「法律」を守らなければなりません。この「家」をテーマにした比喩表現は「公共団体」にも通ずるものがあります。大まかな概要や方針は都道府県が監督し、統括するにせよ、特徴や性質は各市町村の公共団体によって三者三様です。何故なら同じ都道府県でも地域性によって組織の性格も変わるからです。ここで私は、地域性を把握した上で、その公共団体が保守的か革新的かを見極める必要があると思います。保守とは現状維持です。基本的に国家機関は保守的な側面が多いです。この場合、人材採用において、積極性よりも協調性が重宝されます。故に「司会」はオススメしません。ですが、受験する公共団体が革新的な取り組みを行う組織であったのであればどうでしょうか?その、公共団体が担当する地域では、経済格差、過疎化、災害、これらの問題が発生しています。このようなケースでは、問題解決能力を備えた人材を欲していることが多く、積極性が評価されます。ですので「司会」も一概に評価されないとは言えないのです。しかし、注意的があります。それは、安易に欲している人材を予測してしまうことです。例えば、受験する公共団体の地域が田舎であることを理由に、過疎化を懸念し、積極的な人材を欲しているのだろうと思い込んでしまうことです。仮に過疎化の問題が発生していたとしても、その地区を担当する公共団体が積極的に市町村の活性化に尽力しているとは限りません。また、表面上改善が必要な事象であるように見えて、実は現状維持でも対応が出来ているケースもあるのです。これらから、安易な予測に基づく集団討論対策は危険です。ですので、受験する公共団体の地域性のみならず、組織の雰囲気や施政方針を熟知することが合格に繋がります。


・状況質問
「あなたは〜な状況でどうしますか?」
上記のような問いは警察官採用面接では典型的な質問です。ですが、皆様はこれらの質問に対して間違った対策をしていませんか?
きっとこれらの質問に「合理的」かどうかを念頭に「答え」を用意しているのではないでしょうか。
前提として、物事に合理性を求めることは相手との対峙を意味します。何故なら合理性とは討論において必要となる「道具」だからです。厳密には相手を納得させるための方法です。ですから、合理性や論理性を用いた「答え」では、いつの間にか「面接官に良い印象」を与えることから「自分の意見を理解させる」ことが目的に変わってしまうのです。
警察官採用面接で、実際の状況下に必要な「答え」は必要ありません。[第三章・面接対策]でも取り上げた様に「綺麗事」や「やる気」などの概念が警察組織は大好きです。そのため「実際の状況下では〜することがベストだろう」ではなく「耳障りがよく純粋な答え」をひたすらに並べることの方が重要なのです。面接官はあなたの堅実さや素直さを見ています。そこに合理性や論理性は考慮されていません。
何度も言います、警察官採用試験は「普通」を見抜くテストです。そのため、決して「相手」を「論破」してやろうなどと、思ってはいけません。

・論文対策
論文対策について、基本的には面接練習で身に付けたことを文章にするだけです。
と、一言で言っても難しいかもしれませんね。
まず、論文試験では問われる論題が二つのタイプに分かれます※例外もある
1「あなたについて」
2「警察について」

3「例外」
これだけです。非常にシンプルですね。
具体例な論題を提示しましょう。
「あなたについて」
「自身の弱み強みをどう捉えているか、経験を踏まえ警察官としてどう活かすのか?」
「あなたは人から信頼されるためになにをしてきたか?警察官としてどのように行動していくつもりか?」
「失敗した経験からそれをどう警察官に活かすのか?」
「あなたが、これまで人のためにしてきたことは?それを警察官としてどのように活かすのか?」
「あなたが人から影響を受けたことに触れ、警察官として広い視野を持つことの重要性を述べろ」
「警察(官)について」
「警察官が持つべき倫理観とは何か?あなたの経験を述べた上で目指す警察官像について述べろ」
「交番とはどのような存在か?交番が安全安心の拠り所であるためには警察官としてどのように行動すべきか?」
「今後の警察のあり方について述べ、警察官を志した動機を述べろ」
「警察は何を期待され、何をしなければならないのか?警察官を志望する動機と併せて述べろ」
例外「時事・教養・社会」
「最近のニュースから、警察官に求められている能力を述べ、どのように答えていくか?」
「あなたの印象に残った事件について述べ、警察官になって何がしたいか?」

「警察官になって守りたいものはなにか?その理由を経験から述べろ」
「日本社会に欠けていることをあげ、警察官としてどのように職務にあたるか?」


これらの論題に目を通してみて、なにか気がつくことはありませんか?
この論題、ほとんど聞かれていることが一緒なのです。
「あなたについて(経験や教訓・性格・志望動機)」→「警察について」

「警察について」→「あなたについて(経験や教訓・性格・志望動機・どうするか)
このように、順序は違えど「あなたについて」
&「警察について」
は、セットになっているのです。つまり、警察組織が欲している人材を理解した上で、あなたがその要求に応えられる人間であることを証明すれば良いのです。
自身の弱み強みをどう捉えているか、経験を踏まえ警察官としてどう活かすのか?」では、「自身の弱み強み」を「あなたについて」「警察官としてどう活かすのか?」を「警察について」として分けることができます。「自身の弱み強み」とは性格の事ですから紛れもなくあなたのことです。「警察官としてどう活かすのか?」では、活かされる性格や行動は警察組織にとって、プラスとなるものでなければいけません。つまり、警察について(相手)を理解しなければ、どのような性格や行動が相手から求められているのかが分からないのです。
「あなたは人から信頼されるためになにをしてきたか?警察官としてどのように行動していくつもりか?」この論題も同様に、あなたについてを信頼されるに至るあなたの経験、警察について
は、その行動が警察組織に益があるものでなくてはなりません。そのため、と同じく、やはり相手を理解しなくてはならないのです。
警察官が持つべき倫理観とは何か?あなたの経験を述べた上で目指す警察官像について述べろ」この論題では、警察官に必要な倫理観を聞かれています。ですので、警察がどのような倫理観を持っているのかを知らなければいけません。また「経験を述べた上で目指す警察官像について述べろ」では、あなたについて(経験)から、目指す警察官像に文章を繋げなければいけません。この場合には、経験から培った長所(性格)から理想とする警察官像に私もなれるんだ(私も近い存在だ)、と文章を構成する必要があります。そのためにも、理想的な警察官とは何か?を考えなければなりません。そこで、理想的な警察官とは警察組織に貢献出来る警察官であると言えます。何故なら、あなたが理想にしている警察官像が、警察組織が求めている人材(警察官像)でなければ意味がないからです。加えて、論題冒頭にある倫理観警察官像を同じ意味合いとしてまとめなければ支離滅裂な文章となってしまいます。そのためにも、①②同様に「警察について」を理解し、相手から求められている警察官像を文章で論じなければならないのです。解き方としては、警察について尋ねてられている、倫理観警察官像をセットにして考え、あなたについては、求められている倫理観警察官像に自分は近いのだと自負できる有用的な経験(エピソード)から自身の適正の高さをアピールすれば良いかと思います。
冒頭で私は「面接練習で身に付けたことを文章にするだけ」と述べました。これから分かるように、あなたは組織に貢献できるのか?
と適正や能力を見極める上では論述は、面接と全く変わらないのです。では、論述問題はどのようにしたら解けるようになるのでしょうか?
それは、面接練習にあります。もちろん、文章を書く練習も当然必要になります。しかし、論述問題は面接で聞かれる内容と瓜二つです。そのため、面接練習をこなしていれば基本的には解けます。それでも、論述が難しいと苦手意識がある方は逆算方式をオススメします。逆算とは反対から答えを導くことです。例えば自身の弱み強みをどう捉えているか、経験を踏まえ警察官としてどう活かすのか?」であれば、先に警察官として必要な、活かされるべく行動やそれに至る性格を考えます。警察官では協調性や社交性が大切です。そのため、協調性や社交性が活かされる状況を連想して文章を構築するのです。そして、自身の強みとして協調性や社交性、それに繋がるエピソードを作れば文章の完成です。他にも「警察官に求められている能力」「警察は何を期待されているのか」などの「警察について」が尋ねられている論題では、先に相手が求めている適正や事象(警察について)から文章を構成していくやり方を勧めます。まとめると、相手から必要(求められる)とされる能力、事象、思想を先に考え、辻褄にあった「あなたについて」のエピソードや教訓を用意すれば良いのです。
「警察について」(なにが求められているか?)「あなたについて」(辻褄が合う経験)
このような、逆算方式を使うことで、組み上げていった文章に矛盾が生じたり、自身のエピソードや教訓が問われている論題に結ばれない等の支障を払拭することができます。
これらの論題形式の他に、例外が存在します。それは「時事・教養・社会」です。これら、論述の構図では、「あなたについて」「警察について」この、二つの概念の一方が消失しているケースが多いです。
「最近のニュースから、警察官に求められている能力を述べ、どのように答えていくか?」では、ニュースつまり時事から警察官に求められている能力を述べなければいけません。ですので、この論題では、あなたについてが問われず「時事・教養・社会」「警察について」 となっているのです。このような、例外を含む論題においても逆算方式は可能です。しかし、逆算した先で問われていることがあなたのことではないために、与えられている情報が圧倒的に少なくなってしまいます。つまり、警察官に求められている能力を先に考えたとしても、それに繋がる時事を見つけられなければ意味はありません。このような外的要因を含む論題では、かえって逆算方式は混乱してしまいます。では、どのように対策すれば良いのでしょうか?
これについては、予め知識を蓄える以外に術はありません。幸いにも警察官採用試験の過去問は公開されています。そのため、いくらでも対策できます。加えて、例外論題においても問われる内容は似たり寄ったりです。ですので、過去問から推測した、有用的な時事ネタや教養をニュース・新聞等で集め、知識を深めておきましょう。
最後に、危険性の原則についてお話し致します。またかよ?と思われた方も多いでしょう。しかし、危険性の原則は面接に限らず論述試験でも同様に存在します。例えば、以下のような論題が挙げられます。
「警察官になる上での自信と不安」
「強みと弱みをどう捉えているか?」
「失敗した経験から学んだこと」

これらは共通して、負の事象(ネガティブ)を問われています。
「不安」「弱み」「失敗」これらが負の事象です。
仮に「不安がある」(ネガティブ)な文章を作り上げた場合、どうなるでしょうか? 答えは単純です。
あなたは不安(ネガティブ)があると述べている人材を採用したいと思いますか? 私なら採用しません。ですが、論題テーマに従い、必ず「不安」(ネガティブ)を答えなければなりません。
であれば、不安とは改善可能事象且つ改善済み事象に限定しなければならないのです。そして、これらの負の事象には、著しい欠陥があってはならず、相手があなたを採用する上で、リスク(危険性)とされる表現は避けるべきです。
詳細な「危険性の原則」については、第三章の[それ、何で言っちゃだめなの?]並びに[エピソードに潜む危険性]をご覧下さい。

・外見
警察官採用試験に限らず、各々の職業には適している「外見」が存在しています。
ここでの「外見」とは広義な意味を指します。具体的には「顔」のような「生得的」な要素と改善可能な容姿を一括して「外見」と呼称しています。
まず、改善可能な要素とは身嗜みや髪型を指します。そのため「あなた」の努力次第でどうにでもなる要素です。しかし「生得的」な要素はどうでしょうか? 生得的との言葉が示す通り改善は難しいかと思います。では、警察官に適している「生得的」な「外見」とは何を指すのでしょうか。それは、大きく分けて二つです。第一に身長や体格、第二に顔です。体格は改善可能要素にも含まれているため身長や顔に着目して説明していきます。
身長については身体要件である「おおむね男性160cm以上(警視庁)」を満たしていることが条件として書かれています。しかし「おおむね」です。「おおむね」とは「大体や大凡」の意味と同じです。ですので「規定の身長を満たしていないからなれない」は間違いです。
次に顔です。私は冒頭で「各々の職業には適している「外見」が存在している」と述べました。残念ながらこれは事実です。例えば「アイドル」は当然のことながら「容姿端麗」でなければ務まりません。これと同じく職種に応じた適した「顔」が存在しているのです。これから述べる事は普遍的な「顔」の良し悪しではありません。性格と同じです。顔に良いも悪いもありません。文化や人種、環境によっても「美人」「イケメン」の概念は異なります。また、警察官の場合「むいている」ではなく「なれる」つまりは「なりやすい」顔について後述します。
では、警察官に適している「顔」とはどのようなものなのでしょうか。
はじめに男性からです※。一般的に日本で「イケメン」だと認知されてしまう人は警察官採用試験では不利になります(ジャニーズ顔や韓流顔)。理由は警察官に適していない「リスク」を内包しているからです。心理学の内容となりますが、男性で容姿が良い人間は「プライドの高さ」や「メンタルの弱さ」が性格に現れる傾向にあります。これは、幼少期においてスクールカースト上位を対価なしにキープできてしまうことが原因です。小学生や中学生は外見や運動神経で人間に優劣をつけます。そのため、外見が優れている人間は無条件に優遇されるのです。ですので「イケメン」はその「容姿」から常に他人の享受を受けている状況となります。このような享受を他人から習得できてしまう以上自らが権利や立場を体得する必要性がありません。故に「イケメン」は「与えらて当然」と勘違いしてしまうのです。これらの成長過程で「イケメン」は自己プライドと承認欲求のみが発達して、それが大人社会の尺度である「損得(実力主義)」と相対した際に弊害が生じてしまうのです。
その他にも「イケメン」は第三者から「外見」を重要視しているのだな、と思われます※。このことによって警察業務遂行に支障がないのか?と、面接官に疑われてしまうのです。以上で述べた事はあくまで統計です。しかし、面接試験とは相手がどう思うかが全てです。そのため「本当のあなた」を考慮した選考はなされません。ですので、初めから自身の外見が齎すハンデを理解した上で対策を行う必要があります。もしも「あなた」が「イケメン」であるのならば、一般的に「イケメン」の弊害として挙げられる「プライドの高さ」や「メンタルの弱さ」に対抗した長所「忍耐力」「協調性」を面接官に押し出してみてはどうでしょうか。
「イケメン」の他に警察官採用試験で不利となる「顔」があります。それは「オタクっぽい顔」です。これについては具体的にどのような顔かと聞かれても文章では表現できません。ですがこの部類の「顔」を持つ人間も不利になることは確かです。理由は[第三章・それ、何で言っちゃだめなの?]をご覧ください。そして、対策法ですが「イケメン」と同様に、面接官が一般的に解釈するであろう性格予想の反対を長所として述べれば良いのです。この場合は「社交的」や「活発的」を挙げれば良いでしょう。
加えて「ヤンキー・不良っぽい顔(吊り目や細顔)」なども面接試験では不利となります。これらの顔を持つ方は「真面目」や「誠実さ」をアピールすることをオススメします。
これらから自身の「顔」が警察官に「なりやすい」かどうかを視野にいれて面接対策をしてみては如何でしょうか?
(補足) 以上が生得的な要素である「顔」がもたらす影響と対応策です。しかし、生得的な「顔」で唯一改善出来るパーツがあります。それは「目」です。人間は真剣になにかを取り組むと目つきが変わるとよく言われていますが、これは事実です。ですので警察官採用試験に向けた努力や熱意はあなたの「目」を通じて面接官に伝わります。そのため、採用試験に向けた真面目な取り組みがあなたの外見をプラスに変えるのです。
※ ちなみに「身嗜み」と「ファッション」は異なる意味である。身嗜みとは相手を不快にさせないための社会人としての基本的な容姿を指し、ファッションとは私的に自身を飾るためのもの。面接で重要となるのは「身嗜み」、ですので身嗜みを意識した外見の調整は必要となる。
※ 女性は規則性が不明確であり予想が難しい。女性は不思議なことに美人であれば、どの入試、就活であっても有利となる傾向がある。不条理だが仕方がない。


・資格について
「資格はあった方が良いの?」と聞かれることが多いですが、あった方が良いに決まっています。しかし、これには時期を考える必要があります。例えば警察官の一次採用試験1ヶ月前に資格の勉強や修練を行うことは愚かとしか言いようがありません。何故なら「残りの1ヶ月間 採用試験の勉強に取り組むこと」と「資格の加点」とを天秤に乗せた場合に明らかに1ヶ月勉強を行なったほうが総合得点としては高くなるからです。ですので、時間が許す限りは資格にチャレンジしてみましょう。

・大卒 高卒 どちらがいいの?
警察官になる上で「大卒」と「高卒」はどちらが良いのでしょうか?
結論は「大卒」の方が「良い」です。他のサイトや書籍では「高卒」にもメリットがあるのだと「綺麗事」が淡々と書かれていますが間違いです。この様なことは少し考えれば分かるはずです。大学卒業資格を得るためには高校卒業者よりも苦役やお金が掛かっています。そして、よく社会では「利回りが一番いいものは教育費」であると言われています。まさにその通りです。これらの前提から考えても「高卒」が「大卒」よりも「境遇」や「扱い」が良い訳がありません。もしも「大卒」と「高卒」を区別化しない世の中ならば日本の「大学制度」は破滅しています。当然、例外はあるでしょう。しかし前にも述べたように「例外」はどんな事象にも発生します。そのため「例外」を排斥しなければ、どんな意見や考えも一切述べることはできません。
「〜でも」「〜の人もいる」は「馬鹿」が口にする言葉です。物事の根幹として「統計的」に洗礼された意見でなければ、話を進めることすら困難なのです。
私が最近目にした書籍で「高卒で警察官になるメリットの項目」には「キャリアアップ」が挙げられていました。この「キャリアアップ」とは「自身の成長」が主な意味かと思います。では自身が成長することによって「何」が生まれますか? 何も生まれません。この様な無責任な発言は警察組織をよく理解していない証拠です。[第三章・共産主義を理解しよう]でも触れた通り警察組織は年功序列です。そして、第一章では「あなた」の「能力」を認めてくれる環境でなければ「あなた」は廃れてしまうとも論じました。
つまり、自身が成長しても根本的な「身分」が「キャリアアップ」しない限りは「あなた」の「幸福」が向上する可能性は低いのです。私は「高卒がダメ」と述べているつもりはありません。ただ「大卒と高卒では大卒の方が少しだけ有利であることは認めようよ」と言っているに過ぎないのです。そして、警察官として現場に立てば「大卒」も「高卒」も変わりません。「高卒」だからとの理由で差別(昇給や給与以外)されることもありません。ですので、経済的な理由で大学機関に進学できない方は「高卒」として警察官の道に進むことも全然ありなのです。しかし家庭が経済的に裕福であるのならば大学には進学するべきです。

〜最後に〜
ブログを読んで頂きありがとうございました。誤字脱字や訂正箇所の指摘はAmebaのコメントにお願い致します。また、質問や相談等がありましたらDMまたはコメントで対応させてもらいます。「こんな人は向いているの?」「この様な場合はどうなの?」などの疑問が御座いましたらお手軽にご連絡下さい。
ブログの内容・説明等の利用・引用に関しましてはご自由にお使い下さい。

〜お願い〜
本来はイラストや図説を用いて解説していくつもりでした。そのため分かりづらい箇所が多々存在していることは重々承知しています。ですので、資料作成やイラスト制作が得意な方でお手伝い頂ける方はご連絡下さい。