公園でおばあさんが
黄色の毛糸と黄色のフェルトで
何かを作っていた
手のひらよりももっと小さい
それは帽子?
ひっくり返せば
小さな大切な物をいれる入れ物になるわね
わたし今
大切な物を持っているはず
だって今の
このひとときが とても大切な時間だから
大切な時間には 記憶をとどめる象徴があるはず
印になるような
何かないかしら
ボタン
貝がら
丸い石
何を入れておこう その中に
そのとき目が覚めてしまった
まだひとつも印を見つけていなかったのに
愛しい時間をひきとめる魔法も見つけていなかったのに
でも夢の中で 私は泣いていなかった
花マルです
【詩と写真 醍醐千里】