いつも通り満天の星がまたたく夜に登り始めたが、さっそく息が上がるわ、眠気がくるわでしんどい、、、。
七合目に着き、目の前には「山小屋」という誘惑が。
気付けばソッコーで、「朝までいくらですか?」と聞いている自分、、。意地も見栄も一切ナシ。
同じく疲れきった顔で頂上を目指している仲間を横目に、迷いなく一人山小屋へ。
笑顔でみんなを見送った。
みんなの恨めしそうな顔ったらなかった。笑
富士の山小屋と言えば、とにかくギュウギュウで、仮眠も取れないような環境なので敬遠していたものの。今回は時間帯からかガラ空きで、一人優雅に眠ることができ、5時に起きたら綺麗にご来光も見れた。

爽やかな朝を迎え、体もすっかり元気に。
このまま降りるのももったいない、と、八合目まで登ったものの、やはり疲れて下山した。
五合目の駐車場で皆を待ったが、クタクタになりながらの登山で全員揃ったのはもう15時。
「しんどい!あんな山もう絶対登らない」
次々に富士山の文句を言うわれら。
、、今更そんなこと言ったって、既に皆10回ぐらい登っているのに、、。
私自信も、そう思っていた。
「あんな山!しばらく見たくもないわい」

いや、違う。
私はそのあと気づいた。
悪いのはきっと富士山じゃない。笑。
日本一をナメて弾丸登山している私達が悪いのでは??
「もう登らない」
その時は確かにそう思った。
ところが、3週間後の9月7日。
いきなり何かに突き動かされるように、山の準備をしている自分。
そして夜22時、一人車で向かった先は富士山五合目。
もちろん自殺しにいったわけではなく、なぜかここで再チャレンジ!
0時に駐車場着。
その後車内で寝袋に包まり仮眠。
満月の明かりに照らされ、4時まで快適に。月がこんなに明るいなんて!
頂上まで続くオレンジ色のやさしい山小屋の明かりが見えていて、なんともいえない安堵感だった。
4時起床。
コーヒーを飲むと、明るくなってきた。

4時半に出発。
今回は初めての須走口登山道。
森からのスタート。
シャッターを開き始めたお店のおじさんとワンコに見送られ、真っ暗な中をゆっくり歩き始める。
山の朝はなんと荘厳な時間だろう。
自分しかいない恐怖と緊張に、自然に抱かれてるような気持ちにもなりながら、ただ黙々と歩く。
やがて鳥がなき、ライトがいらなくなるぐらい明るくなったかと思うと、木々の間から光がさしてきた。ちょうど森が開けたかと思ったら、そこに広がるのはオレンジに染まる雲海と太陽。

うんわーーーーーっ!
思わず一人で声をあげた。

こんな景色を独り占めだなんて。
この雲の下でみんなまだ寝てるんだもんなー。
さあさあ
見えてきた、朝日に染まる山頂を眺めて、あそこまでひたすら歩く。

森を抜け、岩場を登り、七合目の山小屋で休憩。
ここまで三時間半で来たことを言ったら、おじさんに、早い!とびっくりされた。
そのままおじさんに見送られ、順調に歩くこと二時間、あっという間に山頂への鳥居が見えた。
やはり、何度来ても嬉しいもんである。
しかも今回はペースを緩めることなく、疲れを感じることなく登ってこれた。
約五時間半の道のり。
山小屋で味噌汁を飲んで休憩し、今度は下山。
憧れの大砂走りをひとっとび!
スポンジのように柔らかい砂の坂は、一歩踏み出しただけで1mくらい体が進む。
転がるように下ること二時間半、噂通りあっという間に五合目に戻って来た!
ラッキーなことに、一人で歩いていたらシカの親子にも遭遇。

変化のある須走ルートは飽きなかった。
朝4時半に登り始め、13時前には着いてしまった。
やはり、悪いのは富士山じゃない。笑。
やっぱ、睡眠て大事、、。
前回と違って別人のようになってすごい早さで登頂してしまった。
そのまま麓の温泉に浸かった時の達成感たらなかった。
富士山を見ながら、ついさっきまであんなてっぺんにいたんだなぁ、と、すごく不思議な気分。
でもって、「あんな山」と憎らしく見えた富士山が、今回は素晴らしく見えた。
それにしても
1日とは思えない神聖なすごい時間だった。自然との対話。
月と星。雲海とご来光。真っ暗な森を歩く足音だけの時間。山小屋での出会い。シカとの遭遇。
ああ
こうしてまた来ちゃうんだろうな、、。
恐るべし
厳しくて優しくて、何度来ても畏怖の念を抱かせるフジヤマ。
初一人で登山
楽しかったー。