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あべしんのブログ

京都・奈良・滋賀。寺社、古墳、花……、史跡をぶらぶら散策するおじさんの日記です。
京都市内は、ランニングしながら、ぶらぶらしていることもあります。

皆さま、こんばんは。
今回(週)も、「絵巻」の話題です。

先週、義仲寺を訪ねて、12世紀末の「源平の争乱」の中の悲劇のヒーロー·木曽義仲さんに思いを馳せました。
最近は、「源氏vs平氏」と言うよりも、歴史用語として「治承・寿永の乱」と言われるようです。

時の最高権力者・後白河法皇は、やはり臣下のトップに上り詰めた平清盛さんにいろいろお世話になっていたにもかかわらず──。
※三十三間堂を見ると、そう思えます。
結局、力(財力)を“有り過ぎる程”つけた平氏は嫌われたんですね。
後白河法皇の皇子·以仁王の挙兵をきっかけに、各地で平氏政権に対する戦乱が起こりました。途中で、源氏同士の対立に巻き込まれたのが、木曽義仲さんですよね。

最終的な結果、どうなったかと言うと、後白河さんの思い通りにはなりませんでした。
源頼朝を中心とした主に坂東平氏(北条氏もその一つ)から構成される関東政権〈武士の政権〉の樹立に至った訳です。

そして、13世紀はじめ──。
京都文化博物館の解説では、「後白河さんの孫にあたる後鳥羽上皇が、列島を統べる体制が成立した」と書かれていますが・・。実質は、東日本を勢力下においた鎌倉の武士の政権と、西日本の支配を保った天皇(天皇家=上皇)を中心とする朝廷と、2頭体制で全国が治められることになりました。

はじめは、旧勢力の朝廷では新興の武士の政権への反感が募っていたものの、均衡は保たれていたのです。

でも──。
建保7年(1219)、3代将軍源実朝が暗殺されると言う事件が発生しました。
※諸般の事情(詳しくは省略)から、後継将軍として、九条家(藤原・摂関家)より、源頼朝の妹の曾孫にあたる2歳の三寅(後の藤原頼経)が迎えられました。

そして、関東政権は、北条氏(北条義時)が執権職にもかかわらず、実質的に手中に収めるに至ったのです。

この時、朝廷の中心にいたのが、後鳥羽上皇でした。
承久3年(1221)、「関東方にスキあり」と‘何故か’勘違いして、「北条義時追討の宣旨」が全国に発布しちゃったのですね。全国的に展開する戦乱(承久の乱)が勃発しました。
しかし、関東武士政権側は、例の北条政子さんの、皆さまご存知の“かの有名な”『吾妻鏡』や『承久記』にある《名演説》で団結しました。結果は、ご存知の通りです。
そして、京都の朝廷が存続したものの、全国的に武士の政権優位の時代になった訳です。

結局は、後白河法皇から後鳥羽上皇までの時代、いやひょっとしたら後醍醐天皇の時代まで、天皇(天皇家=上皇)を中心とする朝廷と、武士の政権との「主導権争い」が続いたと言っていいのかも知れませんね。

話が長くなりました。
京都文化博物館に行って参りました。
今週火曜日、4月6日より、特別展『よみがえる承久の乱 後鳥羽上皇vs鎌倉北条氏』が始まりました。

そして──。
皆さま、ご存知の通り──(?)。
『承久記絵巻』の発見が、昨年ニュースになっていました。
「四大合戦絵巻」の一つとして、承久の乱を描いた唯一の絵巻だったものです。かつては高野山の龍光院が所蔵し、昭和14年(1939)に現在の京都国立博物館で展示されたのを最後に、所在不明となっていたのです。
ところが、一昨年。個人が所蔵しているとの情報があって、京都文化博物館が調べたところ、箱に記された墨書や、巻物の内容から、『承久記絵巻』と確認されたのです。

80年ぶりの再発見です。

奇しくも、今年(2021年)は、承久の乱(1221)から800年!
もちろん、『承久記絵巻』全6巻公開!です。

最新の研究成果を踏まえ、天皇家・貴族・武士・僧など、この時代の人々の息吹を伝える古文書、肖像画、刀剣、仏画などから、歴史上の“この重要事件”に迫る展覧会です。

「テーマ的に?」そして「古文書中心」なので、どうしても‘地味’な展覧会かも知れませんが、必見です。

さて、何故、木曽義仲さんの話からしたかと言うと、その前の時代、院政、そして、保元·平治の乱から、展示がスタートしていたからです。
後白河法皇による木曽義仲調伏の修法を記録した国宝・『覚禅抄 大威徳法』や、巴御前の刀と伝わる黒漆革包太刀 銘有綱など、貴重なものが、いきなり見られるからです。
※刀剣も何点かあるよ!

『保元·平治合戦図屏風』や『平家物語図屏風』など、「源平の争乱」を躍動感たっぷりに描いたものが、後の展示を期待させて・・。
中でも(少し地味ですが)、最古の『源平盛衰記』本文を記した『長門切』(13‐14世紀)は、貴重だと思います。

そして、主要テーマの「多能の帝王、後鳥羽院」へと──。
後鳥羽上皇は、『新古今和歌集』に結実する和歌をはじめとして、多芸多能の帝王だった資料がたくさん展示されています。
重要文化財・『熊野懐紙』「山河水鳥·旅宿埋火」など、後鳥羽上皇宸翰をたくさん見ることができます。藤原家隆筆の『熊野懐紙』「古谿冬朝·寒夜待春」は国宝なんですね。後期は、別の‘国宝’と入れ替えですが・・。
後鳥羽上皇が、有能な貴族を従えて熊野に行幸されたことが分かるものが多数展示されていました。

蹴鞠の免許制や蹴鞠の時に履く韈(沓)の色まで、後鳥羽上皇が定めていたことが分かるものが展示されていて、ひょっとしたら“運動神経抜群”だったの?
また、後鳥羽上皇が鍛えたと伝わる刀(太刀 菊御作)まで展示されていました。

多分、優秀過ぎて──。
自信満々で──。
後の展示にもあるのですが、摂関家(近衛家&九条家)をはじめとする貴族たちが誰も、「上皇の無謀な思いつき」を止められなかったのですね!

「北条義時追討計画」に否定的だった慈円の『愚管抄』の写しとか、乱後には後鳥羽院から距離をおいた藤原定家の『明月記』(定家筆)などの展示もありましたが・・。

余談ですが──。
先週の鑑真さん(京都国立博物館)に続いて、ここでも俊芿さんの画像に出会えました。泉涌寺の創建にも、後鳥羽上皇が深く関わっていたのですね。
いろいろ繋がってるもんで・・。

後鳥羽上皇の有能ぶりが分かる、そして鎌倉時代初期の貴族社会の様子が分かる資料がたくさん展示されていました。
まだ他にも、たくさんありますが、あとは武士の側のことも書いておかないといけませんので、これくらいに・・。

それでは、鎌倉側──。
『源頼朝袖判下文』には、源頼朝の「花押」が見られて、感動!

『曽我物語屏風』は大作で、東国武士の雄々しい姿が描かれていました。右隻に「富士巻狩」が、左隻に「仇討ち」が描かれているんですけど、とても美しいのです。
何故かと言うと、今回展示の「絵巻」や「屏風」は、ほぼ江戸時代のもので、同時代の資料ではないので“価値的には”マイナスなのかも知れませが、先週の『芭蕉翁絵詞伝』と同じく、約300~400年前と“比較的新しい(!?)”ので、絵がとてもきれいで見易い!のです。

そして、メインの『承久記絵巻』巻第一から巻五まで!
長~い!
同じく、美しい「絵巻物」です。
巻き替えありですが、パネル展示も合わせて、武士たちの活躍が伝わる楽しく美しい絵巻でした!!
物語のもとは、『吾妻鏡』。
この展覧会では、何点か展示がありました。ほぼ室町時代の本で、かつ『吾妻鏡』が《武士の政権側の大本営発》ですが、歴史的事件を詳しく物語る絵巻でしたね!

いろいろ感想がありますが──。
全国的に展開した合戦の様子が詳しく、生き生きと描かれていますが──。
勢多橋(瀬田橋)での戦い、そして宇治川での激戦の様子──京の都(中央vs東)の防衛ラインは宇治川(淀川)なんですね。
★これは、壬申の乱でも、「源平の争乱」でも、同じことが繰り返された訳ですが・・。
毎度毎度、橋板が外されて・・。
それにしても、あの大きな川を馬で渡るなんて、昔の武士たちはやっぱり勇敢やわ!──と思いました。

1場面、生首を確認するシーンがありましたが、生々しかったですね~~。
昔のお姉さん、すごいわ・・。

話(展示)は、『絵巻』も含めて、「乱後の隠岐・京・鎌倉」まで展開されていて──。

後鳥羽上皇が、和歌(『新古今和歌集』)にかけた情熱が伝わってきました。
★話は、逸れますが、『百人一首』のラストの組み合わせは、後鳥羽院と順徳院の父子ですよね。この承久の乱の後、後鳥羽上皇は隠岐へ、順徳天皇は佐渡へと流された訳ですが・・。
‘それ(↑)’を思うと『百人一首』を改めて別の角度から読み直す必要があるかも知れませんね。

また──。
乱後、鎌倉の武士の政権が優位に立ったことが分かる資料がたくさん展示されていました。
土地問題の裁判の記録から、(京都の)高僧の人事に至るまで、「鎌倉優位」がよく分かりました。
そして、『後成敗式目』に至る訳ですか!
いやいや、それよりも、治天の君(実質的に力を持つ天皇家の上皇)の決定に鎌倉政権が介入するようになりました。それが、次の時代(南北朝の争い)の伏線にもなる訳ですね。

展示では、国宝・『東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)』が、たくさん出されていました。私は、これは“正倉院文書に匹敵する貴重な史料”だと思ってますが、こう言う機会に活躍するんですよね!

またまた話は逸れますが──。
休憩コーナーで、ビデオが上映されていました。『隠岐と後鳥羽院(つながる800)』と言う題で、隠岐島のことが紹介されていました。
『古事記』の「国生みの話」、平城宮出土の贄の木簡や『延喜式』の御食国の話、或いは小野篁や後醍醐天皇の遠流の話など──とても、魅力的で興味深い所ですね!
死ぬまでに、隠岐島に行ってみたくなりました。
これ(ビデオ)は、必見!
休憩は、オススメです。

まだ言い残したこともありますけど・・。
これくらいにします。
長々とスミマセンでした。

来週から、東京では、国宝『鳥獣戯画』が見られるとのことで、話題ですね。
こっち(京都&大津)では、2週に渡って、『東征伝絵巻』と『芭蕉翁絵詞伝』、そして『承久記絵巻』と、全く趣の異なる「絵巻物」を見てきましたが──。

絵巻の世界は面白い!
そんな“博物館巡り”をさせていただきました。

さて、全国的にコロナ感染者が、爆発的に増えています。
昨年と同様、美術館や博物館の転落も「いつ中止になってもオカシクない状況」ですが・・。

京都文化博物館も、こんなパネルを作られたのに──。
まあ、皆々さまの命の方が大事ですから・・。

無事、開催が続けば、来月23日(日)まで。
いろいろとお気をつけて、見に行ってください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。