四季耕作図という画題について ~宝鏡寺より~ | あべしんのブログ

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京都・奈良・滋賀。寺社、古墳、花……、史跡をぶらぶら散策するおじさんの日記です。
京都市内は、ランニングしながら、ぶらぶらしていることもあります。

Qu'ils  mangent  de  la  brioche !

「ブリオッシュ(ケーキ)を食べればいいじゃない!」――農民が、飢饉のため主食のパンが食べられなくて困窮していることを聞いた‘ある高貴な女性’の言葉とされます。身分の高い方々が庶民の生活に疎いことを示す言葉としてしばしば引用されます。
マリー・アントワネットの言葉という伝説ができたようですが、その根拠となる記録はないそうです。

今、世間では《解散騒ぎ》なるものが起こっているようですが……、
私には、どうしても偉い先生方が「ブリオッシュを食べればいいじゃない」と言っているようにしか聞こえないのです。それが私だけなら、感覚がおかしいのですね。反省します!

話が変な方向に行きました。元に戻します。


「四季耕作図」という画題があります。
お隣の国・中国で、皇帝に農民の様子を教える目的で描かれのが始まりです。儒教では〈農〉は社会秩序の基本とされることから、室町時代、この画題が日本に伝わって以後、‘高貴な方々’から数多く注文されました。


さて、京都市上京区(寺ノ内通堀川東入)に宝鏡寺があります。「百々御所」と呼ばれた尼門跡寺院です。代々、皇女が入寺されました。今月末まで公開されています。先週、立ち寄ってみました。

※明日21日(金)から来月7日(日)まで、同じく尼門跡寺院「谷の御所」霊鑑寺(鹿ヶ谷)が公開されます。銀閣寺や哲学の道散策に来られた折に立ち寄られるのもいいかと思います。



宝鏡寺は、歴代の尼門跡に宮中から贈られた多くのお雛様や御所人形を伝えることから「人形寺」の名で親しまれています。
春と秋の公開で「人形展」が開催されるほか、毎年10月14日には「人形供養」が行われます。

写真は、玄関前右手の人形塚です。幼い頃から共に過ごした人形が壊れたまま葬り去られる哀れさに、昭和34年に人形を供養するため建立されました。

石碑には、武者小路実篤の詩が刻まれています。

人形よ  誰がつくりしか
誰に愛されしか  知らねども
愛された、事実こそ
汝が成仏の誠なれ
                                        実篤


本堂には、日本画家・河股幸和筆の鮮やかな襖絵、狩野探幽筆と伝わる「秋草図」があります。
紅葉と苔が美しい本堂前の庭、徳川14代将軍に嫁いだ皇女和宮(和宮親子内親王)さまが幼い頃に遊びに来てたと言われる鶴亀の庭は見ものです。

寺内は、お庭だろうと「一切写真撮影が禁止じられている」ため、宝鏡寺のホームページの写真で紹介させていただきます。↓


1ヶ所だけ、写真撮影可の場所がありまして、それは、皇女和宮さまのお姿を写したという人形の前です。↓


話を、四季耕作図に戻します。
ここ宝鏡寺の書院には、円山応挙の杉戸絵とともに、円山応震(応挙の孫)の「四季耕作図」あります。残念ながら書院は閉められていて、非公開です――かつては見ることができたのですが――。お寺の方に聞くと、保存のためだそうで、今のところ公開の予定はないそうです。

ここは門跡寺院です。幼い頃から深窓で過ごしてこられた皇女(内親王)さまですから、庶民の暮らしぶりなどはご存知ないはずです。せめて毎日、お口にされるごはん(米)が、どのようにして作られるのか、皇女さまに伝える教材として、門跡寺院には四季耕作図あるのです。
「ごはんが食べられないのなら、お団子を食べればいいのに……」と、おっしゃられないように。仏道に帰依される身ですから……。