母の部屋の前で そっと耳をすます

声が聞こえてこない

どうやら眠ったらしい

先ほどまで痛みに耐えかねて叫んでいた

痛み止めが効いたのか

疲れ果てて眠ったのか

折り曲げた体をのばすこともできず

ひたすら痛みが遠のくのを待っている

 

「早く楽になりたい どうしたら痛みが楽になるの」

 

強い痛みが襲ってくると 母はいつもそう言う

ゆるやかに そして 確実に弱ってきている

もうまもなく満開になる桜を 母はみることができるだろうか