ビデボでゲイとの出会い
「何してるの」もういちどつぶやいて、姉は佐伯さんを振り返った。 「なんか云って」下着だけでもつけたいと思ったが、ぜんぶ居間のほうで脱いでしまっていた。 佐伯さんと視線が合った。 佐伯さんはすぐ姉のほうに目を戻した。 姉がまたぼくを見る。 もう無表情ではないが、怒っているようにも見えなかった。 ぼくがもしよその女だったら心おきなく怒れるのか?関係ないじやないか。 弟だってなんだって遠慮なんかいらない。 髪をつかんでべ″ドから引きずり出し、裸で縮こまるのを蹴飛ばして罵声を浴びせればいい。 でも、姉はただ両手で顔を覆った。 右手にエングージリング。 左手にマリ″シリング。 指のあいだから、あああ、と吐息がもれた。 「麻子」佐伯さんが呼んだ。 「なんなのよ」姉は呻いた。 「なんてことしたのよ。 この子あたしの弟だよ?」「麻子聞いてくれ」「この状況で何を聞けっていうの」「そうだけど、でも聞いて」「もしかしてわざと?」姉は床に落ちた紙を拾いあげ、佐伯さんのほうへ突きつけた。
「何してるの」もういちどつぶやいて、姉は佐伯さんを振り返った。 「なんか云って」下着だけでもつけたいと思ったが、ぜんぶ居間のほうで脱いでしまっていた。 佐伯さんと視線が合った。 佐伯さんはすぐ姉のほうに目を戻した。 姉がまたぼくを見る。 もう無表情ではないが、怒っているようにも見えなかった。 ぼくがもしよその女だったら心おきなく怒れるのか?関係ないじやないか。 弟だってなんだって遠慮なんかいらない。 髪をつかんでべ″ドから引きずり出し、裸で縮こまるのを蹴飛ばして罵声を浴びせればいい。 でも、姉はただ両手で顔を覆った。 右手にエングージリング。 左手にマリ″シリング。 指のあいだから、あああ、と吐息がもれた。 「麻子」佐伯さんが呼んだ。 「なんなのよ」姉は呻いた。 「なんてことしたのよ。 この子あたしの弟だよ?」「麻子聞いてくれ」「この状況で何を聞けっていうの」「そうだけど、でも聞いて」「もしかしてわざと?」姉は床に落ちた紙を拾いあげ、佐伯さんのほうへ突きつけた。