タチのゲイの巣窟を発見したよ
『楽しみと日々』に収められたあの短篇「若い娘の告白」を思い出す必要があろうか。 男と抱き合っている現場を母に目撃された娘が、たぶんそのショックで母が発作に襲われたのを悔いて、死を選ぶ話である。 この物語を自己の性癖と母への罪責感をめぐる、プルースト自身の心の葛藤とみることには、まず異論がない。 のちの章でゆっくり論じる機会があるが、プルーストにおいて同性愛が深刻な問題となるのは、母とのつながりにおいてである。 三人の芸術家と同性愛小説『失われた時を求めて』での同性愛のテーマについては、いろんな批判がある。 もともとこんなに大つぴらにゲイたちを小説に登場させるべきではなかったという主張から、同性愛傾向の人物が過度に異様かつグロテスクに描かれているという批判、それにプルーストあるいは作中の話者が終始、他人ごととしてこの問題に対しているという非難まで、意見はさまざまである。