『週刊朝日』(二○○○年三月三日号)の記事は、「現場は、男性の同性愛者が集う公園で、少年たちが同性愛者を「ホモ狩り」と称して襲う事件が頻発していたことも明らかになった」というリードに続き、本文は「あっ、ホモだ/・」「ホモは俺たちの姿を見ると、逃げるんすよ」から始まる。 この中学生たちも、同性愛者を探し出すために公園に来ては、怯えさせることを楽しんでいたようだ。 そして「二人とも、根はシャイでいいやつ。 カツアゲしてたのは知ってたけど、殺人なんてとてもできるタイプじゃない。 カネさえ取れればよかったはずなのに……」という逮捕された少年たちをよく知る中学生の言葉で、記事は終わっている。  「カネされ取れればよかったはずなのに……」のあとに省略されているのは、「どうして殺人まで犯してしまったのか」であろう。 「カツアゲ」するのはわからなくはないにしても、殺人まで犯してしまったのはなぜかとの疑問形で記事が終えられていることは、少年たちに加えて、記者もまたその動機を理解できないでいることを示していよう。  ヘイトクライムであることを触れた報道がそれ以外の報道と異なるのは、「襲っても警察に届けない」という少年たちの証言を取り上げている点である。 この発言を単純に解釈すれば、まず金品を奪取しやすい条件が語られていると理解できるだろう。