企業のポリシー以外にも、職場での異性愛主義のあらわれとして、結婚して家庭をもつことを当然とみなす風潮がある。 異性に惹かれるのを自然とすることの延長線上に、結婚し、子どもをもつことが当たり前のこととされるのである。 これを「結婚・生殖イデオロギー」と呼ぼう。 このイデオロギーは、同性愛者だけでなく、結婚や子どもをもつことを選択しない異性愛者の生き方をも縛ることになるだろう。  職場における結婚・生殖イデオロギーは、同性愛者の日常生活にどのような影響を与えているだろうか。 以前、友人・知人の男性同性愛者たちに、職場のどんなことで困ったか、経験を尋ねたことがある・答えはヽ①恋愛・結婚について問われるヽ②同性愛者であると疑われるヽ 12③性風俗への誘いを受ける、がおもなものだった。  ①の恋愛・結婚について問われたときの対処は、同性のパートナーのことを「適当にごまかして話しているが矛盾しそうになることがある」「彼氏を彼女に置き換えて話しているが、結婚を考える相手ではないと言ったり、ときどき振られることにしている」というものである。 また、「年齢が高くなっても独身ということで同情されている」というものもあった。