「彼女」が教えてくれたこと 「自分は何者だろう」 そう考えることが多くなった。
「男のコが恋愛の対象」「男のコも女のコも恋愛の対象」「今は男のコが好きだけど、いずれ、女のコだけが恋愛の対象になる」 同性を好きになることについて全く情報のないボクは、この三つのうち、自分はど れなのか、わからなかった。
今の気持ちは同性が好き。
でも中学生のときに見た保健体育の教科書には「同性愛 は思春期の一過性のものでいずれ異性に恋愛の対象が移る」と書いてあった。
同性が 好きなことは世の中では受け入れられていない……。
どうしよう……。
考えても答え は出ない。
性のあり方は、一人の人間の中に同性指向と異性指向が、あるパーセンテージで存 在しているという。
同性指向八〇パーセント、異性指向二〇パーセントといった具合。
しかし、あまりに「男は女を愛し、女は男を愛するのが当然」という「世間の常識」 が強すぎて、同性指向がかなり存在する人でも自分の気持ちに素直になれないという 現実がある。
それに追い討ちをかけるように「男は結婚して一人前」といった考え方もまだまだ根強い。
世間の「常識」によって、自分らしく生きられないというのは、なんと悲しいこと だろう。
人は自分らしさを大切にして生きる権利が誰にでもあると思うのに。
そういった「常識」=「異性と恋をしなくちや」という考えはボクにもあった。
「みんなと同じでありたい」という感情は根強く体に染み込んでいる。
人はすべて違っている。
違うからこそ、魅力的なのだ。