これまでさまざまな数字が報告されてきました。
たとえば、「一〇%」説というものがあります。
一九四八年のアメリカのキンゼイーレポートで報告された数字です。
その他に、調査の方法によって三%とか五%という数字もあります。
これは、どのような行為や経験を「同性愛」とするかによって変わってきます。
同性との性体験をもったことを「同性愛」と考えるのか、それとも同性に性的に惹かれたという感情的なレベルだけで「同性愛」とみなすのか、などによって異なりますね。
また、同性愛が法律で禁じられている国では、同性愛者を数えること自体が不可能です。
異性愛者は黙っていても異性愛者として数えられますが、同性愛者は黙っていれば異性愛者のなかに含められてしまいます。
この「黙っている」という状態のために、異性愛者にとっては見えない存在となっていますし、それだからこそどこに同性愛者がいるのかを知リたいという欲望が出てくるのでしょう。
しかし、ここでの問題は同性愛者の数ではなく、なぜ同性愛者が見えなくされているのかということなのではないでしょうか。
― 同性愛の原因さがし 遺伝子がみつかった? 一九九九年三月二三日付けの東京新聞夕刊にある記事が掲載された。
気に留めなければ、つい読み飛ばしてしまうくらいの大きさである。
大見出しには、「「心の性」決める遺伝子の存在?」と書かれている。
その脇には、「ハエの同性愛から分かること」という文字。
それまでは「遺伝子」には関心がなかったが、私はその脇にある「同性愛」という言葉に反応した。
リードには次のように書いてある。