今日から大阪天王寺にある
あべのハルカス美術館で始まった
「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」
※会場内は取材で伺い許可を得て撮影しています。
会場内に並ぶのは141点の作品。
全てが人の手で作られたものです。
まず目に入ってくる作品がこちら↓現代アート部門!
前原冬樹(1962年生まれ)
《一刻:皿に秋刀魚》 2014年/桜、油彩
お皿も秋刀魚も一本の木から作られているそうです。
疑い深い私は横からじっくり見てみました。
ちゃんと引っ付いています!(当たり前ですけど)
この胡瓜お花が咲いてるから、食べるにはちょっと時期を逸しているかも・・・
でも美しいお姿です。明治工芸部門
安藤緑山《胡瓜》
「安藤緑山」 『ろくざん』ではなく『りょくざん』
こんなエピソードがあります。
この展覧会がおととし東京で開催されていた時、緑山のお孫さんが偶然展覧会のポスターを目にします。それがきっかけで、緑山が生きていた時に同居していた次男のお嫁さんに話を伺うことができたそうです。その中で、これまで謎だった、緑山の生没年、名前の呼び方など様々な証言が飛び出したそうです。(次男のお嫁さんは残念ながら昨年12月に死去)
会場には緑山の作品が多数展示されています。
安藤緑山 《葡萄》
安藤緑山 《松竹梅》
さて、明治工芸の時代背景を少しご紹介しましょう。
明治維新を機に世の中がガラッと変っていく時代、工芸の世界にも大きな影響を与えていきます。
「廃刀令」により、金工は刀の装飾から壺や香炉などへ
「廃仏毀釈」により仏師は、仏さまから置物や調度へ
「洋装化」により呉服商は刺繍絵画へ
大きな社会変化の中で変わらざるおえなかった明治の工芸家たちでしたが
逆に国はそこに注目、日本の工芸技術をを世界に売り出そうとしました。
殖産興業として工芸品の生産を奨励し、
世界各国で開かれていた万国博覧会に出品、日本の工芸品は世界で大ブームとなります。
「ジャポニズム」ということばも広がります。
日本は工芸品をどんどん輸出し、外貨を稼いでいきます。
正阿弥勝義理¥(1832~1908)
古瓦鳩香炉 清水三年坂美術館
一大ブームが去ると、明治後期になると工芸は絵画や彫刻などに押され、芸術分野の脇に追いやられていきます。
日本の工芸が再び注目されるようになったのは21世紀に入ってからのこと。
海外に流出していた優れた工芸品を買い戻され、
いわゆる『里帰りした工芸品』が展覧会などで披露されるようになりました。
高瀬好山(1869~1934)
《十二種昆虫》
明治工芸を生み出した工人たちのDNAを受け継ぎながら
今を生きる現代作家たちは新しい表現に挑んでいます。
満田晴穂(1980年生まれ)
《自在十二種昆虫》 2017
銅、赤銅、四分一、真鍮、青銅、銀
とにかく本物よりリアルな作品ばかり。
じっと見つめすぎて、展示ケースのガラスに鼻をぶつけることも・・・(気をつけてくださいね)
会場では単眼鏡の貸し出しの行われています。
作家たちの技術の神髄を見たいのであれば、是非!
イベントも充実しています。↓
「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ!」
あべのハルカス美術館で4月14日まで開かれています。
他にもご覧いただきたい作品あるので、
それはまた次の機会にご紹介します。