「戯画」とは、滑稽化、風刺化された絵のことです。
大阪は笑いを文化として培ってきた場所、その笑いに通じる「戯画」をテーマにした展覧会をと企画されました。
※取材で伺い、会場内は特別の許可を得て撮影しています。無断転載転用はお断りしています。

ベルギーからの里帰り作品も含めた約280点が展示されています。
上方で始まった「鳥羽絵」をキーワードに、江戸時代の戯画を紹介しています。

第1章 鳥羽絵
(大阪を中心に人気となった笑いの絵画)
18世紀の初めに上方で始まった「鳥羽絵」のちに大阪で「鳥羽絵本」となり流行しました。特徴的に描かれた人たちによって引き起こされる様々な「笑い」が描かれています。その人気は各地に広がり、江戸の浮世絵にも影響を与えました。

第2章 耳鳥斎(にちょうさい)
18世紀後半の大阪を中心に活躍した絵師、耳鳥斎。独特のユーモアあふれる画風が人気を博し、一世を風靡しました。

『地獄図鑑』は代表作の一つ。現生での職業に合わせて様々な「地獄」が描かれています。

例えば・・・歌舞伎役者には大根地獄(大根役者だったから?(笑))
地獄といえば怖い!ものですが、この戯画を見ているとくすっと笑えるから不思議です。
第3章 北斎
浮世絵で世界的に有名な北斎は、あまり知られていませんが、戯画も手掛けていました。
キャプションに注目!

「鳥羽絵本」を見本にして描いたと思われる作品も数多くあります。ここからも、大阪の鳥羽絵が江戸の絵師に影響を与えたことがわかります。

この他にも、当時流行した「謎かけ」を絵にしたものや、ユーモアたっぷりの北斎漫画も並びます。北斎漫画は版本化され各地に広まり、のちの絵師たちにも大きな影響を与えました。
第4章 国芳
江戸の戯画の名手といえば、歌川国芳。猫や金魚、独楽や化粧道具までもが擬人化され、作品の中で生き生きと動き回ります。

今回は人気の「金魚シリーズ」が初めて勢ぞろい。現在確認されているのは9図、前期のみですがその全てが展示されます。
そして、幻の10図については・・・会場でお確かめください!
注目point!国芳が描く猫たち〜!
当て字になったり!

影絵になったり!

例えになったり!

国芳も猫好きだったそうです。可愛らしさ、はっとさせられる表情やしぐさなど、猫の内面を形にしたような猫たち。「猫愛」が感じられました。
第5章 滑稽名所
幕末には、名所を舞台とした戯画が描かれるようになります。
風景画の手前で様々な騒動が巻き起こります。
例えば、

「大蛸が墨を吐き出して、男に逆襲!周りは上へしたへの大騒ぎ!」
遡れば鳥羽絵本にも同じような発想が見られます。発想のつながり、という点にも注目してご覧ください。他にも色々と騒動が起こっています。
第6章 暁斎
幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎。数えで7歳の時に歌川国芳に入門し、その画業をスタートさせました。2年で国芳の元を去りますが、のちに暁斎が描いた戯画には、国芳からの影響がみられるものもあります。

「戯画」とは滑稽化、風刺化された絵のこと。改めて実感できる展覧会。
描かれる人物、動物、道具などなど。時にはデフォルメされ、時には擬人化され、でも、誰もがどれもが生き生きとしています。おもろい作品たちが集まった展覧会。
見終わった後には必ず笑顔になれるはず。
あ、見ている側の想像力もためされますぞ~
「江戸の戯画 鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」
大阪市立美術館で6月10日まで開かれています。
展示の入れ替えもありますので、ご注意ください!