あべのハルカス美術館で開催中の
「北斎展」
大英博物館との共同企画で、日本ではここでのみの開催です。
年代別ではなくテーマ別に6つの章に分けて展示されています。
※取材で伺い、特別の許可を得て撮影しています。
葛飾北斎。江戸時代後期の浮世絵師。30回改号し、93回引っ越しをしたそうです。6歳で絵を描きはじめ、90歳で亡くなるまでに、3万点以上の作品を発表、版画だけではなく肉筆画にも傑出した才能を発揮しました。
第1章 画壇への登場から還暦
「春朗」「辰政」「宗理」「北斎」と大きく名前を変えた四つの時期、それぞれから象徴的な作品を集め展示しています。
作風やモチーフの変化を感じることができます。
第2章 冨士と大波
司馬江漢の「相州鎌倉七里浜図」(右)
元々は江戸愛宕神社の絵馬堂に掲げられていました。
北斎はこの絵を元に、『柳の糸』より「江島春望」(下右)という作品を作ります。いわばこれが北斎「グレートウェイブ」のはじまりだといわれているそうです。
一番右
《『柳の糸』より「江島春望」》寛政9年(1797)
大本一冊 大英博物館
・ヨーロッパ様式で描かれた風俗画 ↓
現代漫画の挿絵といってもいいくらい、繊細で鮮やかな作品。
・富嶽三十六景 ↓
このシリーズは私も大好きで、昔、永○園のお茶漬けの素に、カード付録がついていたのですが(年齢がばれそう(^^;)、お茶漬けをいっぱい食べて、カードもいっぱい集めた思い出があります。
第3章 目に見える世界
風景画や花鳥画、富嶽三十六景とほぼ同時期に作られた版画作品、いわゆる錦絵が並びます。
「堅中版花鳥図」制作されたのは10点。大英博物館にいい状態で所蔵されていて、今回その10点すべてが展示されています。
二段掛けになっていますが、実は上下でペアなんです。見比べてみてくださいね。
第4章 想像の世界
「百人一首うばがゑとき」
百人一首を「乳母・おばあさん」が易しく絵解きをするのであればこうなるという趣旨のシリーズです。
が、見ていて全くわからない。ん~ん~(悩)
しかも、百人一首なので100ないといけないところ、版画として完成したのは27点。もしかして北斎さん、途中であきらめたのかしら・・・
第5章 北斎の周辺
今回の展覧会で私が一番心惹かれた作品です。
「鳳凰図天井絵彩色下絵」
鮮やかな色彩。鳳凰の瞳、すべてを達観したかのような冷静な目、隙がない・・・でも、どこか温かさも感じます。何なんだろう。
(ガラスにカメラを構えている甲斐も映り込んでいます・・・失礼)、
《鳳凰図天井絵下絵》弘化3年(1846)頃
紙本着色一幅 小布施町・岩松院
第6章 神の領域
波しぶきなのか、渦なのか、いや、もしかしたら海ではなく宇宙を描いたものなのか・・・いろいろに解釈されている作品だそうです。
たしかに、吸い込まれているようで、でも、沸き上がっているようにも見える。見ている人の心持で印象が変わるのではないかしら。
《濤図》 弘化2年(1845)
無款 板絵着色二枚
小布施町上町自治会
晩年一緒に暮らしたのは、二番目の妻との間に生まれた三女応為(お栄)、彼女も絵に対する豊かな才能を持っていました。
作品の中にはこの応為の手が加わったものもあります。キャプションをチェックしてみて下さい。
100歳まで生きるつもりでいた北斎。80歳代から使い始めた「百」という落款にその思いが込められています。
音声ガイドは必聴。キャプションも読みこんでください。そして、作品の中に飛び込む気持ちで(あくまでも気持ちですよ~(^^;)対峙してみて下さい。
大英博物館 国際共同プロジェクト
「北斎 -富士を超えて-」
あべのハルカス美術館で11月19日まで開催。
https://www.aham.jp/exhibition/future/hokusai/