2017年度第3期の県美プレミアムとして企画されたのが
特別展示「絵画のふしぎ ~県美・絵画・名品選~」です。
絵画をめぐるふしぎを、主題表現、技法、素材、視点といった観点から考えます。
※取材で伺い、特別の許可を得て撮影しています。
第1章 あたかもそこにあるかのように
洋画の技術を習得し、日本近代絵画の礎を築いた画家たちの「写実」への取り組みを紹介しています。
モノのあるがままの姿をとらえようとした作品が並びます。
小林清親の作品が7枚並びます。
小林清親(1847~1915)
江戸から明治に活躍した、版画家・浮世絵師。月岡芳年、豊原国周とともに、明治浮世絵界の3傑の一人に数えられた。「最後の浮世絵師」「明治の広重」とも評された人物。
「光線画」と呼ばれる、、光と影の巧みな表現で季節や天候の繊細な移ろいを表現する版画を多数創作しました。
会場に並ぶのは、機関車や花火などをモチーフにした作品。
従来の日本画にはない、明暗表現、遠近表現なども取り入れていて、
「明治にあって、当時では、先進的な画家であった」とのことです。
第2章 再現から表現へ
大正の初めごろ、芸術は「表現である」という考え方が、若い画家たちを中心に広がります。
後期印象派、未来派、キュビズムなど、新しい西洋絵画に機敏に反応し感動した若者たちが、その「表現」にのっとって、新しい「表現する作品」を作り出していきます。
第3章 開かれた窓
「絵」はしばしば、世界を眺めるための「窓」にたとえられてきました。
「窓」から見た風景画や空間の広がりを表現した作品が並びます。
四宮金一の作品↓
四宮金一は1938年香川県生まれ。
絵の図柄の形変形させたカンヴァスに、黄色で表現していく、独特の作風で知られています。
展示されているのは、二次元平面に3次元の空間を表す遠近法を用いた作品。
やはり、黄色が目を引きます。
そして、トリッキーです。
一瞬、立体作品?と思ってしまいました。
第4章 かげ、あと、しるし、もの
絵の起源とはなんなのか。一説には戦地に赴く恋人の影を描いたのが始まり、だったとか・・・
左の作品は
高松次郎の作品《影 (#304)》
人物にライトを当てて浮かび上がらせた「影」
どこかに仕掛けがあるのでは、カンヴァスにライトを当てているのではと、確かめずにはいられませんでした。
1958年→1960年→1976年 と時系列に作品が並んでいます。
平面から次第に立ち上がり、立体へと作風の変化がわかります。
豚さんが・・・作品を見つめているように見えます。
豚さんももちろん作品です。
本物の猪の毛皮を貼り付け、絵の具と板とを組み合わせた作品。
グロテスクなんですが、でも、引き付けられて目を離すことができません。
絵の具の塊が落ちないかしらと、変な心配もしてしまいました。
白髪一雄《猪狩 〈弐〉》
1963年 油彩、毛皮、板
第5章 何がどう見えている?
人はどのようにモノをみているのか。見るとは、時間的空間的な動きを総合したもの。
うーん、難しい・・・
かなり楽しい展覧会です。
少し進んでは戻って確かめたり、最後まで見た後に、印象的な作品をもう一度見に行ったりと、じっくりと時間をかけて楽しみました。
県美プレミアム「絵画のふしぎ 県美・絵画・名品選」展
兵庫県立美術館で来年2018年1月21日まで開催されています。
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_1710/index.html
もう一つの県美プレミアム「JAPAN KOBE ZEROの軌跡」は後日ご紹介します。